【脱・だらだら会議】議題を共有することの意味とその方法

神野沙樹

神野沙樹

テーマ:いきいき会議のコツ(組織活性)

議題の共有

議題の共有をしない会議は、糸の切れた凧と同じ


クレイアート(黒板)

みなさん、「会議の大テーマ(○○について話し合う)」は知っているけれど、
その進行順は「進行役のみぞ知る」という会議に出席されたことはありませんか。

これまでのコラムで、会議でもミーティングでも、
①目的の共有、②目標の共有、③方法の共有が必要だという話は述べてきました。
(参考リンク:社内会議・プロジェクト開始時に共有すべき3つのこと(1)目的社内会議・プロジェクト開始時に共有すべき3つのこと(2)目標社内会議・プロジェクト開始時に共有すべき3つのこと(3)方法

会議を始めるときにはこの3つを共有することが大切ですが、
③方法のひとつである「議題の共有」について、今日は少し掘り下げていきます。

そもそも、「議題」とは何のために必要なのでしょか。
会議の進行役だけが知っていたとしたら、どんな問題があるのでしょうか。

その理由は2つです。

1つは、「安心感」です。

どこか旅に出るとき、
「○○に行くからとりあえず車に乗って!」と言われるより、
どうやっていくのか、どんな道をたどるのかを共有することで、
参加者は安心することが出来ます。

当然、「道順なんて興味が無い」という方もいらっしゃいますが、全員ではありません。
道順(どのような内容の話し合いをするのか)を聞いて
安心する人が例え一人でもいるのであれば、共有することで「会議の質」が高まります。

もう1つは、「計画性」です。

こちらは、「進行役」の方にとっての意味合いです。
進行役のアタマの中にだけ「大よその議題」がある状態で進める会議と、
参加者全員がしっかりと「議題」を共有した中で進める会議、どのように違うでしょう。

参加者の意識も違うことはもちろんのこと、
進行役としても「決められた議題に則って進めよう」という意識が芽生えます。
そうなると、不思議なもので自然と
「事前にしっかりと会議の流れの組み立てをしよう」という心理が働きます。

つまり、「進行内容を進行役しか知らない」という場面においては、
「何となく進めれば出来るだろう」と思いがちですが、
「全員に共有する」となると、それ相応の準備を進めるというわけです。

もし、進行役自身が「何となく」会議を進めたら…
それは、糸の切れた凧のように、どこに飛んでいくか分かりません。

参加者にとっても、進行役にとっても意味のある「議題」。
それでは、どんなことをあらかじめ決め、どこまで共有すべきなのでしょうか。

共有する議題の作り方と、完成後のチェック方法


クレイアート(資料&社員)

議題とは、「何を話し合うか」です。
例えば、「朝礼」といっても、いきなりスケジュール確認はしませんよね。

あるいは、新商品開発会議をすると一口にいっても、
新商品の性能を話し合うのか、スケジュールなのか、
役割分担なのか、何を話し合うかは分かりません。

それらを、「進行役も参加者も」認識しながら進めるということです。

いくつか例を出してみましょう。

(例1)定例朝礼
・挨拶「おはようございます」
・今日のスケジュール確認
・今日の来客確認
・1分スピーチ
・挨拶「今日も一日がんばりましょう」

(例2)就業規則作成プロジェクトミーティング
・挨拶「こんにちは」
・チェックイン(参考URL: (リンク))
・目的、目標、方法、議題確認
・ワーク「就業規則は何のため?」
・今日のまとめと次回までにやること確認
・挨拶「ありがとうございました」

最低限、上記の内容を共有しましょう。
大よそではありますが
「今日はどんな内容を取り上げるのか」ということが分かると思います。

もし「この内容で大丈夫かな?」と思ったら、
参加者の一人、あるいはまったく別の人に見せて
「大体イメージつく?」と確認してみましょう。

なお、その会議・ミーティングが30分を超えるようであれば、
タイムスケジュール(各議題に何分ほど使う予定か)も共有しておくと、
さらにスムーズに進みます。

人は「消しこむこと」で達成感を感じる


クレイアート(青空&女性)

ここからは、弊社で研修や人事プロジェクトミーティングを
行う際に実際に取り組んでいる「ひと工夫」をお伝えします。

1.「議題」の明確化
これは、常に議題が確認できる状況にするという意味です。

例えば、パワーポイント(スライド)で議題を共有しても、
次のスライドにめくると議題が無くなってしまいます。

そのため、ホワイトボードの左側に議題を書く、
A3ほどの紙に印刷しておいて壁に貼るなどをします。

参加者が「次、何をするのかな」と思った時に確認できる状態にあることで、
「現在の議論」に集中できるようにするためです。

なお、どうしても書けない・貼れない場合は、
配布レジュメに書いておく場合もありますが、
出来れば「全員で」確認できるのがベターです。

2.「終わったこと」の見える化
例えば、議題をホワイトボードに書きだしていた場合、
各議題が終わったら、赤いホワイトボードマーカーで「消しこみ」ます。

「仕事のタスク」と同じ。
目的は2つ。
終わると赤いペンで消していくと達成感が感じられるということ。

もう1つは、「次のステップに進む」という気持ちになるためです。

時に「何となく次の議題にうつっている?」
「あれ、今の議論はどうなったの?」と感じる会議に出席することがあります。

それでは、せっかくの議論が台無しです。

全員で議題を共有したうえで、
「今の話は○○でした、では次に行きましょう」と認識すると、一気に場が締まります。

■まとめ


今回は、「議題」の共有について見てきました。

ポイントをまとめておきます。
1.議題を共有するのは「参加者」にとっても「進行役」にとっても価値のあること
2.議題を作ったら、第三者にチェックしてもらうこと
3.30分以上の会議は、タイムスケジュールもあわせて共有すること
4.議題は参加者みなが見える工夫をし、各議題が終わったら赤ペンで消しこむこと

議題を共有するのは、とっても簡単なことですが、
つい怠って「みんなわかっているだろう」と進めてしまいがちです。

しかし、みんな(参加者)は「分かっていません」。
それを肝に銘じて、多少手間がかかっても、
議題を明確にして、共有するステップを必ず踏むようにしましょう。

議題を共有するだけで、必ず会議の生産性・質があがりますから!

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神野沙樹
専門家

神野沙樹(社会保険労務士)

株式会社Niesul(ニースル社労士事務所併設)

経営者様、社員のみなさん自身による「就業規則」や「評価制度」づくりをサポートする社会保険労務士。第三者の立場として「制度づくり+人づくり」を促し、真にイキイキとした職場づくりを提案します。

神野沙樹プロは朝日新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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