任意売却ができたとして残債務が残る場合はどうなるの?
離婚に伴う不動産の任意売却は、複雑な問題が存在します。以下では、離婚と不動産の任意売却について、その関係性についてわかりやすくまとめていきます。
まず、離婚に伴う不動産の任意売却は、夫婦双方の同意が必要となります。これは、不動産が共同で所有しており抵当権がついているものである場合、どちらかの一方が単独で売却することができないためです。
一方が売却に同意しない場合は、裁判所に対して分割や処分の訴えを起こすことが必要となります。
ここで、一方が売却に同意しない理由で多いものを3つ挙げてみます。
1.意見の相違
夫婦の間で、不動産の売却について意見が分かれている場合があります。例えば、一方が不動産を手放したくないと考えている場合があります。その理由としては、住居として長年暮らしている場合には、思い入れがあったり、子供たちの成長の場として大切にしたいと考えていたりする場合があります。また、売却後に新しい住居を探すことに不安を感じている場合もあります。
2.財産分与の不満
夫婦が離婚する場合、財産分与が必要になります。この際に、不動産をどう分割するかについて、一方が不満を持っている場合があります。例えば、一方が長年住んでいた不動産を手放すことが不本意だったり、もう一方が不動産を売却することで得られる収益の配分に不満を持っている場合があります。
3.価格の不満
売却に関して、価格について一方が不満を持っている場合があります。例えば、売却価格が低い場合に、もう一方が早急に売却したいという意図で、高値を求めることなく売却する場合があります。そのため、もう一方が売却価格に不満を持って同意しない場合があります。
また、不動産の売却には手続きや費用がかかります。
例えば、不動産の評価額の算定や売却契約書の作成、登記簿の更新などが必要です。これらの費用は、売却による収益から差し引かれることになります。したがって、売却によって得られる金額が債務の返済に充てられる場合、売却によって生じる費用や税金なども考慮する必要があります。
さらに、不動産の売却には時間がかかることがあります。売却に必要な手続きや費用、買い手の見つけ方や交渉など、多くの段階があるためです。そのため、売却によって得られる金額が債務の返済に充てられる必要がある場合、返済期限を過ぎてしまう可能性があります。このような場合、借金が返済不能となり、強制的な差し押さえや債権者からの請求などの問題が生じることがありますし、不動産の評価額は、時期や地域によって変動することがありますので、売却のタイミングによっては、評価額が低くなってしまうことがあります。
そのため、売却によって得られる金額が債務の返済に充てられる必要がある場合は、適切なタイミングを見極める必要が出てきます。
このように、離婚と不動産の任意売却には様々な問題が存在します。しかし、適切に対処すれば、円満な離婚や債務返済につながる可能性がありまので、以下に、具体的な対処法をまとめていきますと、
★売却に必要な手続きや費用について
事前に十分な情報収集と計画が必要です。不動産会社や弁護士に相談し、必要な手続きや費用、税金などを把握しましょう。また、売却によって得られる金額が債務の返済に充てられる場合は、売却前に債務返済計画を立て、売却によって生じる費用や税金などを考慮に入れた計画を立てることが重要です。
★売却にかかる時間について
事前に十分な時間を見積もることが必要です。売却までの期間を考慮し、債務返済期限を過ぎないように計画を立てましょう。また、売却のタイミングについては、不動産市況を把握し、適切なタイミングを見極めることが重要です。
★売却によって得られる金額が債務の返済に充てられる場合
夫婦間で協議を重ね、売却についての意見を共有することが必要です。また、裁判所に訴える場合は、弁護士のアドバイスを受けながら、適切に手続きを進めましょう。
以上のように、離婚に伴う不動産の任意売却は、複雑な問題が存在しますが、適切に対処すれば円満な解決につながる可能性があります。しかし、事前の情報収集や計画、協議、アドバイスの受け入れなど、慎重な対処が必要です。