コラム
自然損耗・経年変化による原状回復費用の負担 特約がない場合の考え方は?
2018年2月11日 公開 / 2021年3月2日更新
自然損耗、経年変化の原状回復 特約がない場合。
●原状回復に関する特約
よく問題となるのは、自然損耗・経年変化による汚損、色あせなどを元に戻す費用負担です。これに関して特約がない場合には次のような考えとなります。
●賃貸借契約終了時において、ふすま、畳、カーペットの張り替え費用、ハウスクリーニング費用等を借主の負担とすることは、それが自然損耗、経年変化によるものである限り、その旨をあらかじめ合意していない以上、借主の負担とさせることはできないと考えられています。
従って、返還すべき敷金から控除することもできませんし、請求もできません。
なぜなら、目的建物が自然に損耗し、経年変化するのは当然のことであって、借主には何ら責任がないからです。その負担は賃料収入を得る貸主がすべきものとされています。(注1)
(注1) 自然損耗・経年変化の原状回復費用は支払われる賃料に含まれるとの考え方。
●よって、その旨の特約がなければ、自然損耗、経年変化によるものを回復する費用は貸主の負担とするのが通説であり、多くの判例でも示しています。
●「自然損耗及び経年変化の原状回復費用も借主が負担する等」の特約がある場合でも
現在では、原状回復費用には自然損耗や経年変化は含まないとの考えが多数の見解であり、もはやこの問題点はほぼ解決したと思います。
(ただし、ハウスクリーニング費用は認められています。)
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