賃貸借契約 敷金の返還時期及び契約上の禁止行為

宮本裕文

宮本裕文

テーマ:賃貸借契約

敷金の返還


●敷金の返還時期

敷金は、物件の明渡し時に、賃料の滞納、原状回復に要する費用の未払い等の建物賃貸借契約から生じる借主の債務の不履行が存在する場合には、その債務を差引いて返済することができます。

これは、敷金の性質が、借主の債務の担保であるからです。

敷金の返還時期について、「物件の明渡しと敷金の返還は、同時に履行しなくてもよい」と判例でも示されています。

従って、敷金の返還時期は、必ずしも契約の終了時や明渡し時にあわせる必要はなく、実務的にもそれらの時期に一致させる事は困難と思われます。

しかし、敷金の返還も契約関係の一環であり、契約の最終的な精算処理であることから、契約終了、明渡しの後できるだけ速やかに返還することが望まれることはいうまでもありません。


●禁止事項について

①建物の増改築

建物の増改築については、財産(建物)の原状またはその性質を変える行為であることから、そもそも賃借権の内容ではなく、貸主の承諾等、借主にその行為をする権限があたえられて初めて可能な行為となります。
従って、この行為を禁止制限行為として挙げることは当然のことであり、通常のことです。

②危険・迷惑行為

契約上は危険行為・近隣迷惑行為を禁止制限行為として挙げられることは多くあります。
これは、借主の善良なる管理者としての注意義務や用法(使用)遵守義務の内容として認められますが、一方で、借主の通常の使用や生活を極度に制限するものであってはなりません。

また、具体的に何が禁止制限行為であるかを明確にしておくことが、契約期間中の管理にあたっても重要となります。当然、入居者もその点が明らかにされることにより、安心して建物を使用し、居住することができます。

●その意味でも、契約書上であらかじめ禁止制限行為を列挙しておくことが望ましいと思います。



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宮本裕文
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宮本裕文(宅地建物取引業者)

有限会社富商不動産販売

障がい者(心と体)に特化した賃貸住宅入居支援の専門店です。また、宅建士として37年の知見を基に不動産お役立ちコラムを発信しています。

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