大人ピアノ指導法:脳の活性化に繋げる音楽指導法
中高年の方に喜ばれる、簡単で華やかな左手伴奏法
〜「ぐるりんぱ伴奏」を中心に〜
今回は、中高年の方に特におすすめしたい、簡単で華やかに聴こえる左手伴奏法についてお話ししたいと思います。
らくらくピアノでは、まず「楽しんで弾けること」を大切にしています。
そのため、難しい理論や複雑な動きよりも、無理なく取り入れられて、しかも音楽的に豊かに響く伴奏法を数多く工夫してきました。
その中でも、レベル2で非常によく使い、受講者の皆さまからも反応の良い伴奏形があります。
それが、**「ぐるりんぱ伴奏」**です。
ぐるりんぱ伴奏とは
この伴奏形は、とても簡単なのに、華やかに聴こえるのが大きな特長です。
たとえば C の和音であれば、
ド・ソ・ド・ミ・ソ
という形になります。
通常、分散和音というと
ド、ソ、ド、ソ、ミ、ソ……
というように弾くこともありますが、グルリンパ伴奏では、低い音から順番に上へ向かって流れるように弾いていくため、自然で美しい響きが生まれます。
指導するときの言葉がけ

この伴奏は、指の形を難しく説明しなくても、わかりやすい言葉で伝えられるのが魅力です。
私はレクチャーの際、次のようにお伝えしています。
「手をピンします。アルファベットのところに置きます。 そして、2の指をペタッと下ろします。 順番にぐるりで、1個あけて、1個あけて、パ。」
この言葉がけをそのまま先生方にも覚えていただくと、受講者の方にとても伝わりやすくなります。
「手をピンする」というのは、手を自然に開くこと。
そして、たとえば C なら、親指と小指で「ド」と「ド」の位置をとります。
その状態で2の指をすっと下ろすと、ちょうど
和音の第5音にあたる「ソ」に当たりやすいのです。
つまり、C なら
ド・ソ・ド・ミ・ソ
F なら
ファ・ド・ファ・ラ・ド
G なら
ソ・レ・ソ・シ・レ
という形が、自然に弾けるようになります。
この「無理なく形になる」という感覚は、中高年の方にとってとても大切です。
難しい説明をしなくても、「あら、弾けた」という成功体験につながるからです。
さらに華やかにしたいときは「ぐるりんぱもどる伴奏」
もう少し音の広がりや豪華さを出したいときには、
「ぐるりんぱもどる伴奏」
を取り入れることもできます。
これは、ぐるりんぱ伴奏に続けて音を戻していく形で、
ド・ソ・ド・ミ・ソ・ミ・ド・ソ
という流れになります。
響きがとても豊かになるため、「少し上達してきたので、もう一段階華やかにしたい」という方にぴったりです。
実際に、エリーゼのためにのやさしいアレンジが弾ける程度の方でしたら、75歳の方でもこの伴奏に取り組まれた例がありました。
もちろん個人差はありますが、単純なパターンの繰り返しであることが、中高年の方にとって大きな安心材料になります。
多くの方に好まれる「大ぶんちゃ・ちゃ伴奏」
次におすすめしたいのが、**「大ぶんちゃ・ちゃ伴奏」**です。
通常のぶんちゃ・ちゃ伴奏は
5、3・1、3・1
というような形ですが、これを1オクターブ低くして用いることで、より安定感があり中高年の方にも弾きやすい伴奏になります。
この伴奏は、一般のピアノ曲でもよく使われる形ですが、らくらくピアノの現場では特に、
「弾きやすいのに、伴奏らしく聴こえる」
という点で好評です。
「今日は大ぶんちゃ・ちゃ伴奏をやってみましょうか」とお声がけすると、楽しみにしてくださる方も多くいらっしゃいます。
盛り上がり部分に効果的な「どどんぱ伴奏」
そして、曲の中で特に盛り上がる部分にだけ使うと効果的なのが、**「どどんぱ伴奏」**です。
これは、いわゆるシンコペーションを感じさせるリズムですが、
「シンコペーション」という言葉そのものが、どうしても難しそうに聞こえてしまうことがあります。
そこで私は、
「このリズムは“どどんぱ”って覚えるといいですよ」
とお伝えしています。
そうすると、中高年の方にも親しみやすく、ぐっと入りやすくなります。
たとえば ABA 形式の曲なら、B の部分のようなここぞという盛り上がりにだけ入れると、効果的です。
反対に、曲全体に使ってしまうと、思った以上に神経を使い、負担が大きくなることがあります。
そのため、どどんぱ伴奏は“一部分に使う”のがおすすめです。
楽譜に記す際も、難しい用語で説明するより、
「ここはじゃん、と弾いてくださいね」というように、ことばでイメージを添えてあげると、皆さまに喜ばれます。
左手伴奏は「難しい」からこそ、型で楽しむ
右手はメロディーなのでイメージしやすいけれど、
左手になると「本当に苦手です」とおっしゃる方は少なくありません。
だからこそ、らくらくピアノでは、まず
「型で楽しむこと」
を大切にしています。
たとえば、まずは531の形で弾いてみる。
そこから、慣れてこられたら”たらりら”や ぶんちゃ・ちゃ伴奏へ。
そして、もう少し華やかにしたい方には、ぐるりんぱ伴奏やぐるりんぱもどる伴奏へ。
このように、段階を追って伴奏の世界を広げていくことで、
「左手は苦手」だった方も、いつの間にか
「左手で弾くのが楽しい」
と感じられるようになっていきます。
いちばん反応がよかった伴奏形
これまで、私自身もさまざまな伴奏法を試し、時には失敗もしながら、現場で工夫を重ねてまいりました。
その中で、もっとも反応がよく、初心者の方にも受け入れられやすかったものが、やはりぐるりんぱ伴奏です。
弾きやすく、覚えやすく、しかも華やか。
中高年の方にとって、これほど嬉しい伴奏形はなかなかありません。
先生方のレッスン現場でも、きっと多くの方に喜んでいただけることと思います。
ぜひ、ぐるりんぱ伴奏、ぐるりんぱもどる伴奏、大ぶんちゃ・ちゃ伴奏、 そして必要に応じて、どどんぱ伴奏を取り入れてみてください。
音楽の楽しさが、左手からさらに広がっていくはずです。


