大人ピアノ指導法:最強となる女性の「口コミ効果」
ソルフェージュ講座で、進度の異なる受講者が混在するときの進め
ソルフェージュの講座では、緩やかに進歩される方と、
早く理解してどんどん進まれる方が同じ教室にいらっしゃることがあります。
これはごく自然なことです。
そのような場合、全体の進行をどのように考えればよいのでしょうか。
結論から申し上げますと、
ソルフェージュ全体流れは「中ぐらいのレベル」に合わせて進めることが大切です。
たとえば、
長音の書き取りをするとき、
さっと書き留められる方もいらっしゃれば、
何度取り組んでもなかなか進まない方もいらっしゃいます。
中には、
「今、何をしているのか」が十分につかめないまま、
黒板を見ているだけになってしまう方」もおられます。
そのような緩やかな進歩の方には、
まず「黒板に書いてあることを、そのまま写していただくだけで大丈夫ですよ」と
お伝えするとよいのです。
実は、その“書き写す”という行為そのものが、
その方にとって大切な学びになっている場合があります。
ただ、実際にノートを拝見すると、
黒板とは異なることを書いていらっしゃることもあります。
そんなときは、「ここを書いてみましょうか」と、
一つだけ丁寧に示して差し上げることが大切です。
また、少しご理解が進んでいる方には、
たとえば四拍あるリズムのうち、
各小節の一拍目だけを書くという方法も有効です。
4拍すべてを書かなければならない、
と思うと焦ってしまう方でも、
「最初の一拍だけで大丈夫ですよ」とお伝えすると、気持ちがぐっと楽になります。
緩やかな進歩の方は,
周りの皆さんがすらすら書いている中で、
「自分は書けない」「何をしたらよいのかわからない」と、
非常に不安になりやすいものです。
音は鳴っている、黒板にも書かれている、
周りの鉛筆はどんどん動いている。
でも自分の手は止まってしまう。
そんな状況では、どうしてもパニックになりやすいのです。
だからこそ、先生がそっと近づいて、
「ここだけ書いてみましょうか」と、
一点だけを明確に伝えることがとても役立ちます。
情報を絞り、なるべく一点のみを伝えること。
これが、思考の混乱を防ぎ、
安心して学んでいただくための大切な工夫になります。
一方で、早い進歩の方は、
何度も繰り返さなくてもすぐに理解され、すらすらと書き進められます。
そういう方には、問題の冒頭に「今日は何回書いたか」を
小さく記していただくことをおすすめします。
理解が早い方であっても、
その日の体調や集中力によって、
進み方には波があります。
「今日はとても早く書けた」
「今日は少し注意が散漫だった」
そのようなご自身のリズムを把握するためにも、
回数を書き留めることはよい助けになります。
また、進歩の早い方には、
教室の中で小さな役割をお願いするのも大変効果的です。
たとえば、
「○○さん、よろしければここを出題していただけますか」
とお願いして、皆さんの前で弾いていただくのです。
ほんの短い一場面でも、
「先生に認めていただいた」
「皆さんのために自分が役に立てた」
という喜びは、とても大きなものになります。
特に、七十歳を超えられた方々にとって、
先生から認められ、活躍の場をいただくことは、
思っている以上に嬉しいことです。
そうした経験は、自信につながり、
学びをさらに前向きなものにしてくれます。
ソルフェージュの講座では、
進度の違いを“問題”として捉えるのではなく、
それぞれの方に合った関わり方を工夫することが大切です。
緩やかな方には、安心して取り組める「一点の支援」を。
早い方には、意欲と自信につながる「小さな役割」を。
その積み重ねによって、教室全体があたたかく,
学びやすい場になっていくのではないかと思います。


