大人ピアノ指導法:信頼をもたらす「看板・コース設定」
口コミを生む音楽教室には、「おしゃれ」と「写真」の要素が欠かせない
どのような音楽教室にすれば、中高年女性の口コミ効果を得られるのでしょうか。
これは、私自身の長年の経験から強く実感していることですが、**「おしゃれ」と「写真」**の要素がないと、口コミはなかなか広がりません。
私がそのことを最も痛感したのは、発表会を始めた頃のことでした。
今では発表会も「フェスティバル」として親しまれるようになりましたが、最初の頃は、中高年の皆さまに発表の場をご案内すること自体がとても難しかったのです。
「趣味でやっているのに、なぜ人前で披露しなければならないのですか」
「人に見せるために習っているわけではない」
「今さら上手に弾けないし、恥をかきたくない」
「大人になってから、そんなことはしたくない」
そんなお声を、本当によくいただきました。
中には、「先生の生徒さんがこれだけいます、と見せたいからやるのではないですか」とまで言われたこともあります。
ですから、口コミ効果どころか、こちらがずいぶん辛い思いをした時期もありました。
そこで当初は、「本当に気軽な小さな発表会です」「いつもの教室で行うだけです」とお伝えしながら、イベントというよりは、お茶会の延長のような形で開催してみたのです。
けれども、結果はほとんど口コミにつながりませんでした。
なぜなら、参加される皆さんにとって、どうしても「いつもと同じ」
になってしまったからです。
特別感がないと、演奏する側の気持ちも日常の延長になりやすく、見ている方の印象にも残りにくいのです。
「普段の服装のままで、1分15秒だけ気軽に弾けばいいですよ」
というような発表会では、集客にもつながりませんでしたし、その後の広がりもなかなか生まれませんでした。
ところが、ある時から、私は発表会に**「おしゃれ」と「写真」**の要素を意識して取り入れるようにしました。
「せっかくですから、綺麗な格好で来てくださいね」
「できれば、少し華やかに、おしゃれをして、アクセサリーもつけて楽しんでくださいね」
そのようにご案内したのです。
最初は、やはり参加者は多くありませんでした。「やってみたい」と前向きな方は来てくださっても、
「そんなの恥ずかしいわ」とおっしゃる方は、なかなか参加されませんでした。
けれども、実際に来てくださった方々が、本当に輝いていらしたのです。
すると、それを見に来た方が自然と写真を撮り始めます。気になるからこそ、見に来られる。
見に来たら、写真を撮りたくなる。そして、撮った写真は、どなたかに見せたくなる。
そこから、口コミが生まれていくのです。
さらに、おしゃれをして来られると、皆さんの気持ちにも変化が生まれます。
「せっかくここまで準備したのだから、写真を撮りたい」という気持ちになるのです。
そして写真が残ると、その一日が思い出になり、誰かに伝えたくなる。この流れこそが、口コミの大きな力になります。
つまり、中高年女性の口コミを生む音楽教室には、単にレッスン内容が良いだけではなく、“人に話したくなる場面”をつくる工夫が必要なのです。
そのためには、イベントの際に「おしゃれをしたくなること」
「写真を撮りたくなること」この二つを、決して軽く見ないことが大切です。
音楽そのものの楽しさに加えて、「今日は素敵だった」「こんな自分になれた」「誰かに見せたくなった」
という体験が重なると、教室の魅力は自然と人から人へ伝わっていきます。
イベントの成功は、演奏の出来だけで決まるものではありません。
参加された方が、自分自身を少し誇らしく思えたり、嬉しくなったりする時間をつくれるかどうか。
そこに、口コミが生まれる大きな鍵があると、私は感じています。


