大人ピアノ指導法:「体験講座」よくある失敗例とは?
体験会での自己紹介は「できる・できない」ではなく、その方らしさを知る時間に
体験会でよくいただくご質問のひとつに、
「自己紹介の際、参加者の皆さまにはどのようなことを話していただくよう
お願いすればよいでしょうか」というものがあります。
まず最初にお伝えしたいのは、
自己紹介の場は、単に「ピアノ経験の有無」を確認するための時間ではないということです。
もちろん、お名前や所属支部名、
そして「どのような教室・協会なのか」を簡単にお伝えすることは大切です。
そのうえで、参加者の皆さまに自己紹介をしていただく流れになりますが、
ここで特に気をつけていただきたいことがあります。
参加者の方にお任せしてしまうと、
多くの場合、自己紹介の内容がこのようなものになりがちです。
「私はまったく初めてなんです」
「できるかどうか迷ったのですが、勇気を出して来ました」
あるいは、以前ピアノ経験のある方であれば、
「昔はやっていたのですが、もう長い間離れていて、
今はとてもドキドキしています」といったお話です。
もちろん、そのお気持ちはとてもよくわかります。
ですが、こうした内容ばかりになってしまうと、
自己紹介が「私はここまでできます」「ここまではできません」という、
少しテストのような報告になってしまうのです。
本来、自己紹介の場で知りたいのは、そこではありません。
皆さまが普段どのような毎日を過ごしていらっしゃるのか。
どのようなことに興味をお持ちなのか。
そして、この場の仲間とどんなふうに和やかにつながっていけそうか。
そうした「その方らしさ」にふれることこそが、本当に大切なのです。
ですから、参加者の皆さまには、
あらかじめ先生のほうから、
「趣味や普段楽しんでいらっしゃることを、短くお話しいただけますか」
と具体的にお願いしていただくことをおすすめします。
特に人数が多い場合には、
「
お一人2分以内でお願いします」 「3分以内でお願いします」というように、
あらかじめ時間の目安も添えていただくと、安心してお話しいただけます。
ここで「趣味を話していただく」ことには、きちんとした目的があります。
それは、場を和ませるため、
そして参加者の皆さまに最初に声を出していただくためです。
体験会というのは、受講生の方にとって、たった一度きりの大切な機会です。
多くの方は、「今日は何かを教えてもらう場」として来られます。
つまり、とても受け身なお気持ちでいらっしゃるのです。
椅子に座って、
「さあ先生、今日は何を教えてくださるのですか」
という気持ちで見ておられることも少なくありません。
そのような状態のまま
先生が一生懸命にお話をしても、
なかなか心に響く状態にはなりにくいものです。
だからこそ、まず先に参加者の皆さまご自身に
声を出していただくことが大切なのです。
「ここでは自分も話していいんだ」
「自分もこの場に参加しているんだ」
そう感じていただくことで、会場の空気がやわらかくなり、
その後の時間の受け取り方が大きく変わってきます。
体験会をあたたかく、参加しやすい雰囲気にしていくためにも、
自己紹介では「ピアノができるかどうか」よりも、
その方の趣味や日常、
人となりが自然に伝わるような声かけを心がけていただけたらと思います。
この最初のひと工夫が、
体験会全体の空気をやさしく整え、
受講生の皆さまの安心感へとつながっていくのです。


