大人ピアノ指導法:①「体験講座」基本の流れと時間配分
体験会で大切にしたい、講師の自己紹介のあり方
体験会における基本的な流れの二つ目は、講師からの自己紹介です。
先ほど、受講生の皆さまには、それぞれご趣味などをお話しいただいている流れがありますので、講師の自己紹介も、まずはその延長として、音楽以外の普段の楽しみや趣味を短く添えることをおすすめします。
たとえば、
「ワンちゃんとのお散歩がとても楽しみです」
「季節のお花を眺めるのが好きです」
といった、ほんのひと言で十分です。
あまり構えすぎず、軽やかにお伝えすることで、受講生の皆さまにとって講師の存在がぐっと身近になります。
自己紹介は、立派に見せるための時間ではなく、安心していただくための時間でもあるのです。
そして、その次に大切になるのが、趣味に加えて“信念”をお伝えすることです。
ここでいう信念とは、難しい理念や堅い言葉ではありません。
それは、受講生の皆さまに対する講師としてのお気持ちです。
たとえば、
「皆さまと末永くお付き合いさせていただきたいと思っています」
「これからもずっと、あたたかく見守らせていただきたいです」
「このレッスンを通して、人生をより豊かにするお手伝いができれば嬉しいです」
そのような思いを、ご自身の言葉で丁寧にお伝えすることで、受講生の皆さまは大変喜ばれます。
技術や内容だけではなく、どのような気持ちで向き合ってくれる先生なのかが伝わるからです。
また、体験会という場では、講師ご自身の率直なお気持ちを添えることも、とても大切です。
たとえば、
「今日は少しドキドキしておりますが、皆さまとこうしてこの場をご一緒できたことをとても嬉しく思っています」
そのように正直にお話しされると、受講生の皆さまも、
「先生も緊張していらっしゃるのね」
と親しみを感じ、場がふっと和らぎます。
完璧に進めようとすることよりも、素直なお気持ちをひと言添えることのほうが、心の距離を縮めてくれることは少なくありません。
さらに、今日この体験会を開くまでの経緯や思いを少しお話しされるのも良いでしょう。
会場を探し、場所を借り、準備を重ね、皆さまとこうして出会える場を一から作るというのは、決して簡単なことではありません。
その背景を少しでもお伝えすると、受講生の皆さまは、
「そういう思いで今日の場を作ってくださったのだな」
と、より深く受け止めてくださいます。
そして最後には、今後この体験会をどのような場につなげていきたいのか、講師としての思いをお伝えするとよいと思います。
たとえば、
「今後は定期的にこうした場を開いていきたいと思っています」
「月に二回ほど、皆さまとご一緒できる時間を育てていけたらと願っています」
それは、まだ決定事項でなくても構いません。
大切なのは、講師としての意思や願いを、あたたかく、誠実に言葉にすることです。
体験会は、単なる“説明の場”ではありません。
それは、講師と受講生の皆さまが出会い、これからの時間を共に育てていくための第一歩です。
だからこそ、講師の自己紹介には、趣味や日常のやわらかさに加えて、受講生の皆さまへの真心、そしてこれからの歩みへの願いを込めていただきたいのです。
そのひと言ひと言が、これから始まる信頼関係の土台となっていきます。


