大人ピアノ指導法:流行らない「ピアノ教室」その原因とは?

光畑浩美

光畑浩美

テーマ:講師の養成/大人ピアノ指導法

大人ピアノ教室を開講しても、なぜ”普通のピアノ教室”は流行りにくいのか

「大人ピアノ教室」と看板を掲げれば、生徒さんが自然に集まる。
そんなふうに考えて開講された先生も、少なくないのではないでしょうか。
かつて、子どものピアノ教室が大きく広がった時代がありました。
バブル期からその後にかけて、ピアノ教室は非常に人気を集め、「大きな看板を出せば集客できる」という成功イメージが、多くの先生方の中に定着していきました。
そのため、「では大人向けにも同じようにコースをつくればよい」と考え、大人ピアノ教室を開講したり、大人の生徒さん向けにさまざまな声かけをされたりしてきたわけです。
けれども実際には、大人ピアノ教室のコースを作っただけで、急激に集客が伸びるわけではありません。
そう感じておられる先生方は、とても多いのではないでしょうか。
その理由は、大人の生徒さんが本当に求めているものに対して、必要な要素が十分に提供されていないからです。
今回は、なぜ一般的なピアノ教室が大人の集客で伸び悩みやすいのか、そして、らくらくピアノではどのように対応しているのかを、整理してお伝えしたいと思います。

大人の生徒さんが抱える「4つの不安」

大人、特に中高年の方がピアノを始めようとするとき、そこには大きく分けて
「心」「体」「時間」「お金」
という4つのテーマがあります。
普通のピアノ教室では、この4つの不安に対して、先生方が善意で丁寧に対応しておられます。
しかし、その対応が必ずしも“本当の不安解消”になっていないことが、実は少なくありません。

1. 心の不安

中高年の方の多くは、長年のコンプレックスを抱えておられます。
「ピアノは難しいもの」
「今さら始めても無理ではないか」
「練習していないと申し訳ない」
このような固定観念や負い目を持ったまま、教室の門をたたかれる方は少なくありません。
そのとき先生は、
「ゆっくりやりますから大丈夫ですよ」
「親切丁寧にお教えしますよ」
と声をかけられるでしょう。
もちろん、それはとても大切な優しさです。
けれども、それだけでは生徒さんの心の奥にある不安は、なかなか解消されません。
なぜなら、大人の方が求めているのは、単なる“丁寧さ”ではなく、
「自分だけができないわけではない」と安心できる場だからです。

2. 体の不安

年齢を重ねると、指が思うように動かない、覚えたことを忘れやすい、難しいことには抵抗がある――。
そうした身体面・認知面への不安も、自然に生まれてきます。
また、「認知症予防のために始めたい」と思っていても、難しすぎる内容では続けることができません。
ここでも先生方は、
「大丈夫ですよ、忘れても何度でもお伝えしますからね」
と励ましてくださるでしょう。
けれども、これもまた、根本的な安心にはつながりにくいのです。
なぜなら、大人の生徒さんに必要なのは、繰り返し教えてもらうこと以上に、
年齢に合わせた“できる仕組み”そのものだからです。

3. 時間の不安

中高年の方が求めているのは、ただ時間を使うことではありません。
楽しく、有意義な時間を過ごしたいのです。
ところが、大人の生徒さんが来られると、「せっかく来てくださったのだから」と、レッスン後にお茶を出したり、お話の時間が長くなったりすることがあります。
一見、心のこもった対応に見えますが、これが積み重なると、先生側も一回のレッスンで疲れ切ってしまいます。
すると、いつしか
「子どものレッスンのほうが楽でいいわ」
という気持ちになってしまうこともあります。
一方で、生徒さん側も、
「レッスンはいいけれど、その後のお話に長く付き合わないといけないのが少し負担」
と感じることがあります。
これは美容室と少し似ています。
髪は切ってほしいけれど、今日はたくさん話す気分ではない。
そんな日がありますよね。
つまり、大人の方が求めている“良い時間”とは、長い雑談ではなく、
自分の人生にとって意味のある、満たされた時間なのです。

4. お金の不安

中高年の方にとって、月謝は継続を左右する大きな要素です。
子どもの生徒さんと同じように、毎月6,000円、7,000円といった設定では、年金生活の方には負担が大きい場合もあります。
そのため、毎週のレッスンを月2回に減らして提供される先生もおられます。
けれども、月2回の個人レッスンという形は、日程調整や継続性の面で難しさが出やすく、個人教室で長く安定して続けていくには工夫が必要です。
つまり、価格を下げれば解決するわけでもなく、
大人の方が無理なく続けられる仕組みが必要なのです。

では、らくらくピアノではどう対応しているのか

ここからは、らくらくピアノでの対応策についてお伝えします。

心への対応

〜「私だけではない」と思える集いの力〜

らくらくピアノでは、中高年の集い
を大切にしています。
同じ年代の方が一緒に学ぶことで、
「私だけではない」
「あの方も同じように感じておられるのね」
という安心感が生まれます。
この“集い”には大きな意味があります。
長年抱えてきたコンプレックスや、「ピアノは難しい」という思い込みが、仲間の存在によってやわらいでいくのです。
心の負担を軽減するには、先生が励ますだけではなく、安心して参加できる環境そのものが必要なのです。

体への対応

〜年齢に合わせた独自メソッド〜

らくらくピアノには、中高年対応の独自メソッドがあります。
年齢を重ねた手の動きや身体の特性に配慮した方法で進めていくため、無理なく、気軽にピアノに親しむことができます。
大人の方に必要なのは、
「頑張ってついてきてください」
という指導ではありません。
必要なのは、自然に取り組めて、無理なく弾ける方法です。
その点で、らくらくピアノメソッドは、中高年の方の体の不安にしっかり対応できる仕組みになっています。

時間への対応

〜「来てよかった」と思える時間づくり〜

らくらくピアノでは、単にレッスンを受けるだけで終わりません。
「弾けた」という喜びを実感できる時間を大切にしています。
たとえば、らくらくピアノグレードがあり、賞状を受け取る機会があります。
また、皆さんで旅行に出かけるなど、音楽を通して人生そのものが豊かになるようなイベントもあります。
これは、単なる“お茶の時間”とは異なります。
「私はちゃんと前に進んでいる」
「今日も良い時間を過ごせた」
そう感じられる時間こそが、大人の方にとっての本当の充実につながるのです。

お金への対応

〜無理なく続けられる学びの形〜

お金の面でも、集いによる学びには大きな強みがあります。
個人レッスンに比べて、一人あたりの負担を抑えながら、満足度の高い学びを提供することができます。
つまり、気軽さと喜び、そして仲間との集いがそろうことで、中高年の集客は大きく伸びる可能性があるのです。
私はよく、個人レッスンを希望される中高年の方は「300人中20人程度」、実際にはそれより少ないこともあるとお伝えしています。
体感としても、個人レッスンを望まれる方は1割にも満たないことが多いのです。
では、残りの方はどうか。
多くの方が、皆さんと一緒に講座という形で学びたいと考えておられます。
つまり、もし今、個人レッスンで来られている中高年の方が1割いるなら、見方を変えれば、その何倍もの集客チャンスがまだ残されているということです。
さらに、この1割の方々も、年齢を重ねるにつれて、やがて
「一人で学ぶより、みなさんと一緒のほうが安心」というニーズに変化していくことがあります。この流れを、私たちはしっかり理解しておく必要があります。

大人のピアノ教室に必要なのは、「コース」ではなく「仕組み」

大人ピアノ教室が流行らないのは、決して需要がないからではありません。
むしろ、中高年の方々の中には、ピアノを始めたい、楽しみたい、人生を豊かにしたいという思いが数多く存在しています。
ただし、その方々に対して必要なのは、単に
「大人コースがあります」
と掲げることではありません。
必要なのは、
・心の不安をやわらげること
・体に配慮した方法があること
・有意義な時間を実感できること
・無理なく続けられる金額と仕組みがあること
この4つを満たす**“学びの場”**をつくることです。
大人の方が本当に求めているものを理解し、それに応える仕組みを整えたとき、教室は初めて
「選ばれる場」
になっていきます。
大人のピアノ教室に必要なのは、コース名を増やすことではありません。
その方が安心して通え、喜びを感じ、無理なく続けられる仕組みを整えること。
そこにこそ、これからの大人ピアノ教室の可能性があるのではないかと、私は感じています。

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光畑浩美
専門家

光畑浩美(大人ピアノ指導の専門家)

一般社団法人全日本らくらくピアノ®協会  株式会社PREMUSE

大人のピアノ初心者向け。特許庁登録「らくらくピアノ®︎」で憧れの曲を楽しく実現。オンライン講座や認定講師養成講座を展開。著書累計17万部超、Amazonや全国書店で販売中。

光畑浩美プロは山陽新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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