知財を活かす地元企業(8)
新しい時代に向けて頑張っておられる知財を活かした地元企業、特に、中小の方々に着目した企業をご紹介しています。
二回目は、「株式会社エムシーシー」です。同社は、廃棄されたプラスチック(廃プラスチック)から燃料(A重油相当)を再生する油化還元装置を製造するメーカーです。
(YUKAKI MS-50)
同社の社長(吉村乕氏)と「油化還元装置」は、SBCテレビ(信越放送)「エコロジー最前線」“廃プラスチックをエネルギーに再生”(本年4月20日付放送)の番組でも紹介されました。
プラスチックの再生というと、一般的には、細かく粉砕することにより他の製品(擬木材等)に再生する方法などは知られていますが、液体の燃料に再生する方法は、あまり知られていないかもしれません。
社長の吉村氏は、廃棄されるプラスチックをエネルギーに再生する時代は必ず来ると信じて、30年以上も油化還元装置の開発一筋に歩んで来られました。そして、今、国内のみならず世界からも注目されており、最近、視察に訪れる企業や政府関係者も絶えないとお聞きしています。
油化還元装置の原理は、簡単に言えば、廃プラスチックを、独自の釜を用いて溶かし、気化したガスを冷却して液体の油に再生します。
知的財産権としては、代表的な特許第4210221号をはじめ、国内では6件の関連特許を成立させているとともに、世界では、米国,中国,香港,韓国,ドイツ,イギリス等においても特許を取得しています。また、油化還元装置の改良型を、国際特許(PCT/JP2018/020041)として出願しています。
現在、使用済のプラスチックの容器等が海に廃棄される問題が大きくクローズアップされており、特に、マレーシアにおける深刻な海岸汚染の状況はニュースでも報じられています。また、中国でも日本からの廃プラスチックを締め出すなど、日本の廃プラスチック処理問題は大きな社会問題になっています。
軽井沢では、本日(15日)からG20のエネルギー・環境に関する関係閣僚会議が開催されます。現状は、地球環境の再生にとって、待ったなしの時代に突入しており、一個人としても、このような「油化還元装置」の活用が促進され、廃プラスチック処理問題が有効に解決する方向に向かってほしいと願っています。