「ら抜き言葉」 に見る 「日本語のあり方」
「言葉の使い方は時代と共に変わり、時には正反対の意味にもなる」
本日付けの朝日新聞 「天声人語」 に、興味深い記事が載っていました。
「煮詰まる」
① 議論などが出尽くして、結論が出る状態になること。
② 議論やアイデアが行き詰まり、結論が出せない状態になること。
①と②は正反対ですが、皆さんはどちらの意味で使っていますか?
記事には、「煮詰まる」 とは、煮えて水分がなくなることから転じて
本来は①の 「合意目前」 の状態を示すが、
近頃は②の 「決裂寸前」 の状態を示すこともある・・・・・とありました。
これは文部科学庁が、先月下旬に発表した 「国語に関する世論調査」 によるもので
本来の意味の① 「結論が出る意味で使う」 と回答したのは半数強で、
後の4割は② 「結論が出せない意味で使う」 と答えたそうです。
実は私自身も、②の 「行き詰まって結論が出ない」 という意味合いで使っていました。
ちなみに、今年85歳になる母は、①の 「結論が出る」 という意味と答えました。
ここまで来ると、どちらが正しくてどちらが間違いと、一概に言いにくくなってきます。
現に、広辞苑は、2008年の第6版から、「頭が煮詰まる」 の用例と共に
②の 「行き詰まって結論が出ない」 という意味を付け加えたそうで、
俗語として紹介している辞書もあるそうです。
まさしく、
「言葉の使い方は時代と共に変わり、時には正反対の意味にもなる」
ということですね。
もしかすると今後 ②の 「行き詰まって結論が出ない」 という意味合いで使う人が増えて、
そちらの方が定着するかもしれません。
「言葉の使い方は時代と共に変わっていく」 ということを受け止めながら
これからも興味深く見守っていきたいと思います。