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「病院の先生の言葉」 ~否定的な言葉は使わないこと~

2014年6月27日 公開 / 2015年7月29日更新

テーマ:言葉のちから

コラムカテゴリ:スクール・習い事

震災の年の11月、自宅の浴室で足を滑らせ、右足のひざ裏の靭帯を切ってしまった私は
病院の先生の 「大丈夫。大丈夫。もう大丈夫だよ」 という 『言葉』 と
まさしく 『手当て』 に助けられ、お陰様で今では症状もだいぶ楽になってきました。

この事は 「言葉の持つ力」 を、あらためて強く意識した出来事でしたが、
この 「言葉の持つ力」 を、医療の現場で実践している先生が、もう一人います。

それは、脳神経外科を専門とする、日本大学医学部 教授の 林 成之 先生です。

林先生は、日大医学部 救命救急センターで、10万人以上の命を救った方で、
北京オリンピックの時に、競泳日本代表チームの選手たちに 「勝つための脳」 について講義を行い、
北島康介選手の金メダル獲得など、その結果に大きく貢献した先生です。

その林先生が、日本大学医学部 板橋病院で、救命救急センターを立ち上げた際に
医師・看護師・検査技師・事務担当などのすべてのスタッフに、3つの課題を出しました。


それは・・・・・

★「否定的な言葉を 一切使わないこと」
★「明るく前向きでいること」
★「チームの仲間の悪口を言ったり、意地悪をしないこと」

「疲れた」 「もうこれ以上出来ない」 「無理だ」 などという 「否定的な言葉」 は
自分が言っても、他の人が言うのを聞いても、脳に悪い影響しか与えない。
「否定的な言葉」 に脳が反応して、目の前にやるべきことがあっても、
脳がマイナスのレッテルをはってしまう。

と先生は言います。


しかし実際の救命救急医療の現場は、非常に過酷なものです。
徹夜で手術をした直後に、緊急の患者さんが運ばれてくるなどはザラで
食事も睡眠も思うように取れないまま、患者さんの処置に追われているのが日常です。

しかも、運ばれてくる患者さんは、すでに瞳孔が開いていたり、心肺停止の状態だったりと、
通常ならとても助からないだろうと思われるような方が多い状況です。

ですから、スタッフがつい 「疲れた」 「無理だ」 「難しい」 といった
「否定的な言葉」 を口にしてしまっても、無理はありません。

しかし「無理だ」 「助からない」 と言ってしまえば、そこですべて終わり。
患者さんの命がかかっている時に 「思考停止」 している暇はないのです。
どんな極限状態にあっても、人の命を救うことに全力を尽くすのが、救命救急の仕事。


そこで林先生は、どんなに追い詰められた場面でも、スタッフひとりひとりに
「今、何をすべきか」 を、口に出して言わせたそうです。

最後の最後まで 「絶対に助けるのだ」 という思いをもち、
そのために 「今、具体的に何をすべきか」 を考えさせ、
「難しい」 という暇があったら、その理由を一つ一つ解きほぐして
「解決策を探す」 ということを実践させたそうです。


その結果


「脳低温療法」 という画期的な治療法が生まれ、重症患者の脳機能を回復させることが
出来るようになり、先生が在職中、瞳孔が開いた状態で運ばれてきた患者さんの内
約4割という非常に高い確率で、社会復帰ができるようになったということです。

これは林先生が、脳の仕組に基づき、チームのマインドを高めようと常に心がけ、
働きかけてきたことの結果だと言って、決して過言ではないと思います。


やはり 『言葉の持つ力』 は、大きいのです!!


ちなみに・・・

日常生活の中で 「愚痴を言った方がストレス発散になる」 という人がいますが、
愚痴からは新しい発想が生まれることは、まずありません。
ですから、仕事や勉強に取り掛かる前に、愚痴を言うのは避けた方がいいでしょう!!

と、林先生は言っています。


本日のコラムは
林 成之 著  「脳に悪い7つの習慣」 (幻冬舎新書)から、多くを引用させて頂きました。
興味のある方は、ぜひご一読ください!!



ホームページにブログを掲載しています。 是非ご覧ください!!
http://www.stage-up.info/person/cat1/

この記事を書いたプロ

長野淳子

生きた言葉のプロ

長野淳子(ステージ・アップ)

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