「娘への手紙」
出張先で転んで左足の甲を痛め、やっとの思いで仙台に帰り着いた私は
そのままタクシーで病院へ直行。
検査の結果骨折していることがわかり、結局 『ギブスの人』 になりました。
ギブスは1か月ぐらいしていましたが、その間もたくさんの方から声を掛けて頂きました。
駐車場の係の人や近くのラーメン屋のおじさん、コンビニの店員さんや八百屋のおばさん
本当にたくさんの方から、「どうしたの?」「大丈夫?」「お大事に!」 と温かい声を掛けて頂きました。
その中でも特に印象に残っているのは、ひとりの小学生の言葉でした。
駐車場に車をとめて事務所に向かっていたところ、ランドセルを背負った
小学校2年生くらいの女の子と、交差点の信号待ちで一緒になりました。
その子は、私の姿を見た瞬間から、興味津々の目になりました。
片方だけ 『白いブーツ』 を履いているような私の姿が、きっと珍しかったのでしょう。
私が隣に並んで立つと、ギブスの足と私の顔を代わる代わる見ながら、
何か言いたそうにモジモジしています。
その様子がとても可愛らしかったので、「こんにちは」 と私から声を掛けました。
そこからは、堰を切ったように彼女からの質問が始まりました。
少女「足どうしたんですか?」
私 「転んで折れちゃったの」
少女「痛かったですか?」
私 「そうね。転んだときは痛かったけど、今は大丈夫」
少女「手術したんですか?」
私 「手術はしなくて大丈夫だったのよ」
少女「歩くの大変ですか?」
私 「そうね、ゆっくり歩けば大丈夫だけど、走れないから急いでる時はちょっと不便ね」
少女「寝るときは、それ、はずすんですか?」
私 「1か月くらいは、ず~とつけたままなのよ」
少女「えっ? じゃあお風呂に入る時は?」
私 「お風呂に入る時は、ビニール袋で包んで、濡れないようにして入るの」
少女「え~~~そうなんだあ~」
そのあたりで信号が青にかわり、私とその子は一緒に横断歩道を渡りはじめました。
その子は、私の歩調に合わせるように、ゆっくりと歩いているようでした。
そして曲がり角に来た時、その子が言いました。
「早く治るといいですね!! おだいじにしてください!!」
そう言うとその子は元気に駆けて行きました。
「ありがとう!!」 と言いながら、私はまた少し泣きそうになりました。
本当に 可愛いインタビュアーでした。
本当に 優しいことばでした。
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