「 2台の救急車 」

長野淳子

長野淳子

テーマ:暮らしの中で

昨日と今日、私は偶然にも同じ道の同じ踏切で、救急車に遭遇しました。

昨日は、事務所から自宅へ帰る途中。夜の9時過ぎ。
今日は、自宅から事務所へ向かう途中。朝の9時過ぎ。

どちらも、後ろから聞こえてきた救急車のサイレンに、
2車線の左側の車は左端に、右側の車は右端にそれぞれ車を寄せて、
道の真ん中に、かろうじて救急車の通れるスペースを作りました。

救急車は、そのスペースを縫うように慎重に通って、
踏切の遮断機の直前まで行って、電車が通過するのをじっと待っていました。

私はその様子を見ながら、早く電車が来て、早く遮断機が上がって欲しいと
祈るような気持ちで待ちました。

私は今まで幸いにも、救急車のお世話になったことはありませんが、
傍で見ている私でさえ、こんな気持ちになるのですから、
救急車の中の人たちは、患者さん本人も、付き添っている人も、救急隊の人たちも
どんなにか気が気でないと思います。

救急車の中で、どんなに最善の応急処置を施されていても、
一分でも一秒でも早く、病院に着くことを、願っているはずです。


早く電車が来てほしい!!  早く遮断機が上がってほしい!!
中々上がらない遮断機に、何とも言えない胸の痛さを感じながら、
私は、あの日もこんな思いをした・・・と、震災の日を思い出しました。

地震の後、事務所から自宅へ向かう道。
いつもなら30分とかからないその道は 大渋滞で、
何度かけても繋がらない携帯に、83歳の母の安否を気にしながら
どうか無事でありますように・・・早く進んでほしい・・・早く帰りたい・・・
のろのろとしか進まない車の中で、私は4時間以上も気をもんだのでした。


そんなことを考えていたら、やっと電車が通過して、遮断機が上がりました。
救急車は待ちかねたように、それでも慎重に、踏切を渡りました。

救急車の赤色灯が、道の先に段々小さくなっていくのを目で追いながら、
私は、どうか患者さんが無事でありますように・・・と、祈らずにはいられませんでした。




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