「ひき逃げ」は絶対にダメです。

笠中晴司

笠中晴司

テーマ:時事ネタ「交通事故」

最近,高齢者の事故とともに,いわゆる「ひき逃げ」に関する事故の記事を見ることも多いような気がします。

そこで,いわゆる「ひき逃げ」の場合の処分につき,簡単に書きます。

「ひき逃げ」ですので,これは,あくまで,「人身事故」が問題となります。

ただ,物損の場合でも,警察に対する届け出等を怠ったりすると「あて逃げ」(危険防止措置義務等違反,交通違反点数は「5点」,刑事処分は,「1年以下の懲役または10万円以下の罰金」)になる可能性がありますので,警察に届ける義務があることに変わりはありません。

話は,「ひき逃げ」に戻りますが,「ひき逃げ」とは,道路交通法72条1項に定められている,交通事故を起こした場合に運転者などに課されている「救護義務」と「報告義務」を履行せず,事故現場から逃げ去ってしまったことを言います。

「救護義務」は,文字通り,怪我をされた方に対し,「救護する措置をとること」等であり,「報告義務」とは,警察に対し,「事故の発生と怪我をされた方の有無や状態等を報告すること」等です。

次に,「ひき逃げ」にあたるとされた場合の処分ですが,刑事処分と行政処分の2つがあります。

刑事処分としては,傷害事故の場合は5年以下の懲役または50万円以下の罰金,死亡事故の場合は,10年以下の懲役または100万円以下の罰金となります。

そして,行政処分は,交通違反の点数が,軽症の傷害事故であっても,35点となります。

35点ですよ!

これは,酒酔い運転等と同じ点数で,集団での暴走運転等があたる「共同危険行為等禁止違反」の25点より高い点数となります。

35点の違反点数が科されると,以前に何も違反がなかったとしても,免許取り消しのうえ,欠格期間といって,免許の再取得ができない期間が3年となります。(以前に違反の点数がたまっていたりすると,さらに処分が重くなるのはご存知だと思います)

これだけの重い処分を科しているのは,もちろん,被害者の身体と生命を守るには,一番最初の発見者であるはずの相手方が,きちんと措置をさせることが必要ということからです。

あと,最後になりましたが,ひき逃げの場合は,民事でも,慰謝料の増額要素となる場合があります。

表題の繰り返しですが「『ひき逃げ』は絶対にダメです。」

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笠中晴司
専門家

笠中晴司(弁護士)

丹波橋法律事務所

大学卒業後,民間企業(地元銀行)で10年間勤務。その後,志をもって弁護士を目指し,弁護士になってから丸17年の経験を積みました。経験に基づく,バランス感覚は,他の弁護士より優れていると自負しています。

笠中晴司プロは京都新聞が厳正なる審査をした登録専門家です

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