交通事故体験記11~発生から示談成立まで~
これまであまり述べてきませんでしたが,私は,弁護士としての業務のほかに,平成24年10月から,丸4年間,京都簡易裁判所で民事調停官(非常勤裁判官)の任に,週に1度あたっていました。
民事調停官(非常勤裁判官)って何?
というのが,一般の方の感想でしょうから,簡単に説明します。
「非常勤」という言葉があるとおり,一般の「常勤」の裁判官(もちろん,この方たちは,裁判官としての仕事しかしません。公務員ですから,兼業・副業は原則禁止です)とは異なり,裁判所に行くのは,週に1度だけです。
ですので,他の日は,当然のことながら,弁護士としての業務を行います。
また,裁判官という名称ですが,訴訟事件(一般的に「裁判」と言われる手続きです)を担当するのではなく,調停事件を担当します。
とすると,
「調停」って何?
となりますが,「調停」は,簡単にいうと,「裁判所を利用した紛争当事者間の話し合いの手続き」です。
具体的には,裁判所が「調停委員会」というのを構成して,当事者から申し立てられた事件を担当します。
そして,調停委員会(調停委員2名と調停主任1名から構成)は,当事者から話を聞いたりしながら,紛争の解決を目指して,当事者間の話し合いを進めていくのです。
なお,「調停」事件には,「民事調停」と「家事調停」があります。
「民事調停」は逆説的に言うと「家事」以外のすべての紛争を担当することができますが,「家事調停」は,離婚や相続,あるいは親子関係に関するもの等,家族に関係する紛争を担当します。
そこで,ようやく,私が行ってきた民事調停官(非常勤裁判官)の説明になります。
民事調停官は,民事調停事件を担当する「調停委員会」の調停主任として,事件を担当します。
調停主任は,多くの事件では,(常勤の)裁判官が担当するのですが,民事調停官は,その裁判官に代わって,調停主任として調停委員会を構成し,調停事件を担当するのです。
ですので,民事調停官は,担当する調停事件では,裁判官と同様の権限を有することとなります。
以上,何か,「自慢」っぽく聞こえたかもしれませんが,何も「偉い」わけではなく,そういう職責である民事調停官の仕事をしていたということです。
ただ,「非常勤裁判官(民事調停官)」をしていると世間に大きく述べると,誤解を与えることがあります。
つまり,民事調停官をしていることで,何か「裁判所に顔が利く」ように捉えられる可能性もあるのです。(あくまで「誤解」です。もちろん,顔は知られているかもしれませんが,それが,何か有利に働くことは決してありません。)
ですので,私は,現役で,民事調停官(非常勤裁判官)に任にあたっている間は,「民事調停官をしている」ということは,ほとんど公開することはなかったという次第です。
(2)に続く(簡単に,非常勤裁判官制度につき,ご説明します)