日本版DBS 第5回 まず対象者と職場のリスクを洗い出す
対象業務の三要素
対象となる業務は、具体的には、第2回であげた①支配性②継続性③閉鎖性を基準に考えます。
- ①支配性 たとえば、学校では先生が児童生徒に対して指導や指示をします。もちろん児童生徒は不服申し立てをできますが、生徒は原則として先生の指導や指示に従わなければなりません。そういった上下の関係が前提になっています。これが支配性です。
- ②継続性 学校や保育園などは、毎日登校登園することになっています。日常的、定期的に顔を合わせます。また、部活のコーチなど定期的でなくても継続して顔を合わせるのであれば、継続性があります。
- ③閉鎖性 他の職員や保護者が同席しない場で顔を合わせることが普通の場合、閉鎖性があるとされます。教室や保育室などがあたります。教室などでなく、たとえば運動場で部活をする場合でも、そこに他の先生や保護者がいないのが常態的であれば、閉鎖性があると考えます。なお、SNSやオンライン授業なども、閉鎖的な環境と考えられます。
以上から、学校教育や保育、児童養護施設の養護の仕事などが考えられます。学校や保育園であっても、これら3つの基準にあっていない仕事については、対象業務になりません。たとえば、事務職員や調理員などは、職種だけで一律に対象となるわけではありません。ただし、送迎や見守りなど、三要素を満たす業務を兼ねていれば、その業務について対象となることがあります。なお、この対象業務はかなり幅広く認められていますので、ガイドラインの確認は必要です。
実際の業務によって判断
以上の対象業務に従事する者が、対象従事者になります。なお、対象従事者は、職名ではなく実際の業務によって判断しなければなりません。先生という職名でなくても、全部または一部の業務が上記基準に合う場合は、その部分において対象従事者になります。たとえば、施設の管理等をする職員(管理用務員など)が送迎バスの運転手をする場合は、バスの運転をする業務に限り対象従事者になります。また、学校や保育園の職員であっても、対象業務に携わらない職員は対象従事者になりません。事務職員などで、いつも事務所にいて子どもに接することがない場合は、対象従事者ではありません。
余談ですが、これら3つの基準は、子どもに対する性暴力を分析した結果、これらが背景にあることがわかったため設けられました。一方、大人に対するハラスメントの背景にも、これら3つがあります。これらは、職場である以上どうしても避けられません。大事なのは、これら3つがあったとしても、性暴力やハラスメントを起こさないようにすることです。そのための研修や相談窓口などです(後述します)。子どもに対する性暴力対策は、ハラスメント対策に通じる部分もあると考えられます。


