日本版DBS 第10回 DBSだけでは子どもを守れない――運用と制度の限界
法は、子どもに対する性犯罪をするおそれがある人は、子どもに接する仕事につかせてはいけません。ではこの「おそれがある人」とはどんな人なのでしょうか。一つは「特定性犯罪事実該当者」もう一つは「不適切な行為をした人」です。
特定性犯罪事実該当者
特定性犯罪事実該当者とは、特定性犯罪をした人で、一定の要件に該当する人です。
特定性犯罪
一口に「性犯罪」といっても様々です。この法律において対象となる性犯罪を「特定性犯罪」といいます。ガイドラインには、
- ①不同意性交 不同意わいせつ
- ②児童淫行
- ③痴漢 盗撮
- ④児童買春
等が列挙されています。
一定の要件
でも、特定性犯罪をした人全員が特定性犯罪事実該当者になるわけではありません。
- ①特定性犯罪で拘禁刑で実刑に処せられ刑の執行が終わった日から20年以内
- ②拘禁刑の全部執行猶予を受けた場合は、裁判が確定した日から10年以内
- ③罰金刑の場合は罰金を払ってから10年以内
の人が、特定性犯罪事実該当者になります。ここで注意すべきことは、少年院送致や保護観察の処分を受けた人は入っていないことです。また、特定性犯罪以外の行為については確認できません。さらに、拘禁刑や罰金に処せられた人でも、上記の年月が過ぎたものについても確認できません。
確認方法
では実際はどうやって確認するのでしょうか。「こまもろうシステム」にアクセスして確認することになります。原則オンラインによる確認です。確認できたら確認書が交付されます。
このシステムについて注意すべき点は、事業者が、犯罪歴がある人のリストを閲覧できる制度ではないということです。事業者が確認したい人に犯罪歴があるかどうかを問い合わせるシステムであるということです。また問い合わせ中に内定辞退や退職などで確認する必要がなくなった場合には、確認書は交付されない場合があります。
不適切な行為をした人
不適切な行為
次に「不適切な行為」について説明します。不適切な行為とは、その行為自体は児童対象性暴力等に該当しないものの、継続・発展することにより、児童対象性暴力等につながり得る行為のことを言います。ガイドラインでは具体例として
- ①SNS等による私的な連絡
- ②不必要な撮影
- ③不必要な身体接触
- ④プレゼントをするなど特別扱い
などをあげています。
派遣労働者と請負・業務委託契約
ここで注意すべきは、派遣労働者と業務委託の場合です。
派遣労働者の場合、労働者が特定性犯罪事実該当者であるかどうかの確認は、派遣先が行うことになっています。
さらに注意すべきは、派遣先は、その労働者が特定性犯罪事実該当者であることを確認したとしても、厳格な守秘義務が課される情報(この守秘については後述します)ですので、その労働者が特定性犯罪事実該当者であることを派遣元に知らせてはいけません。派遣先は、犯罪事実確認の結果そのものは派遣元に提供せず、「児童対象性暴力等が行われるおそれがある」と判断したことを伝え、派遣労働者の変更等を求めます。
さらに請負・業務委託により対象業務に従事する人についても、発注者である対象事業者が犯罪事実確認を行います。派遣元や受託事業者が確認するのではありません。
このため、派遣契約や請負・業務委託契約には、犯罪事実確認の手続への協力や、発注者が児童対象性暴力等のおそれがあると判断した場合に、人員の変更、業務処理体制の見直し等を求めることができる旨を定めておくことが重要です。


