経済の不思議
朝日新聞デジタルの「米国の五輪用ユニホーム騒動が示す危機の時代のナショナリズム」 http://www.asahi.com/fashion/column/at/TKY201207180240.html
という記事を読んで、実体経済と生活者の意識のズレを改めて考えさせられました。
「ロンドン五輪用アメリカ選手団のユニホームが中国製だったことをめぐる騒動は、一見バカバカしいようだがよく考えてみないといけないことも潜んでいるように思える。」(朝日新聞デジタルより)という記事の指摘を見て、過ぎ去った過去の思い出が蘇ってきました。
その当時、日本では靴のトップブランドとして君臨していたある有名ブランドが発売したスニーカーが、瞬く間に人気商品となりました。
ところが、そのスニーカーを購入したお客様が後日、ものすごい勢いで店に入ってきて、大声でクレームを捲くし立てたのです。
「このスニーカーは韓国製ではないか! (韓国製だから)明らかに偽物だ!
返金して貰おうじゃないか・・・。」と言うのです。
いくら「本物です。このスニーカーは全て韓国で作っているのです。」と説明しても納得してもらえませんでした。
トップブランドの持つイメージと、その当時(25年以上前)の韓国で製造された商品という実体経済とのズレが起こした不幸な出来事でした・・・。
今回、ロンドンオリンピックのアメリカ選手団のユニホームを手がけたのは、アメリカのトップデザイナーであるラルフ・ローレンさんです。
そして、そのユニホームは他の多くの服飾品と同じように、当然の事として世界の工場たる中国で製造されたのでした。
ナイキのスニーカーだって、iPhoneだって、当たり前のように中国で作られてきたというのに、(その低賃金、低コストの恩恵を受けて、消費大国のアメリカがあるわけですが)今更何を・・・? とは思うのですが、国家間のナショナリズムが発揚されるオリンピックという舞台が、現実の実体経済と愛国心とのズレを招いてしまったようです・・・。
そして肝心だと思うのは、この記事に記された以下の考察でしょう・・・。
「こうしたグローバルな分業体制に問題がないわけではない。現状ではその多くが、価格を抑えるためには必要な単純だがきつくて低賃金の労働を先進国がアジアや東欧などの土地や人件費の安い国に押しつけているだけ、と言わざるをえない。もしリベラルな立場からすれば、そこで発生している過酷な状態を不公平なものとして糾弾すべきだろう。そして、働く側の国の人たちがそういう”分業体制”への抵抗の手段としてナショナリズムを打ち出すなら分かる。」(朝日新聞デジタルより)
「今回の五輪ユニホームの件では、本来はリベラルなはずだった民主党も保守の共和党も一緒になって愛国心や雇用問題をヒステリックに打ち出していることはかなり奇異に感じる。」(朝日新聞デジタルより)
ナイキのスニーカーやアップルのiPhoneが中国で製造されていることに怒るアメリカ人は、今までほとんど居なかったと思われるのに、自国の雇用不安や経済の停滞を外国での製品製造のせいにするのであれば、それを促してきた金融資本主義やグローバリズムの功罪にこそ目を向けるべきだと思うのですが・・・。
どこよりもグローバル主義を信奉し、製造業を低賃金、低コストの国に任せてきたアメリカが、製造業の空洞化による雇用不安という、まさにアメリカの自由主義の旗印の下に推し進めたグローバル主義による弊害を国内に抱え込んだ末、その矛盾の反動として偏狭なナショナリズムが台頭し始めたのだとしたら、この時代の屈折した新たな排斥主義を象徴している事態なのかもしれません・・・。
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