想定外の危機

小黒健二

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テーマ:ニュース雑感

東日本大震災が発生した3月11日。
あの日の揺れの大きさは、生まれて初めて経験するものでした。
思わず店の外の駐車場に出てしまいましたから・・・。
電柱は大きく揺れ、電線が波打ち、道路に立っていても地面が大きくうねるのを感じました。
周りの通行人も思わず立ち止まっていました。
揺れている時間も長かったですし、短時間に2度、3度と揺れましたね・・・。
少し落ち着いてから店内に戻ると、靴棚の一番上にディスプレイしていた健康靴が床に落ちていました。また、壁面に飾っていたポスターやポップ類の額が揺れで傾いていました。

「けっこう大きな地震だったなあ。」と思いながらも、幸いたいした被害もなく、店を片付けながらパソコンでTVのニュースを見ていると、想像以上の深刻な被害状況が分かってきました。
あれから1ヶ月以上が経過していく中で、「想定外の危機」「想定外の被害」という言葉が、ニュースやTVの解説で語られていました。
でも、「想定」をするのは、あくまでも「人」なんですよね・・・。
「想定」をする「人」たちの知識や経験、あるいは立場によって、「想定」の中身は大きく違ってくるものです。

例えば、高速道路やダムの建設、地方空港の建設計画や大きな箱物等を作るにあたっても、「需要予測」や「必要性」「利便性」「環境評価」「予算の見積もり」等が、立場や利害関係によって様々に違って「想定」されますよね・・・。
「想定」はどうしても恣意的なものを排除しきれない。「想定」には限界がある。
だとしたら、「想定外」を「想定」しておく必要があるんじゃないでしょうか?。

アメリカには、アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁(FEMA)という天災や人災、原子力災害等に対応する政府機関があります。
この組織は1979年にジミー・カーター大統領によって、設置されたものだそうです。
まさに「想定外」の緊急事態に対応するための備えとしての組織なんですね。
話題は変わりますが、「フロリダ州の高速鉄道計画中止 新幹線輸出に打撃」なんてニュースが2月17日に流れていました。
中止の理由は「計画は州民への負担が大きすぎ、利益よりもリスクが大きすぎる」と知事が判断したからで、計画(想定)の甘さを指摘しているそうです。

「想定」に対する「想定外」を想定する。「想定」にたいする評価をきちんと議論しておく。
「FEMA」の設置も「フロリダ州の高速鉄道計画中止」という判断も、そうしたバランス感覚が発揮された例であると感じます。
「想定外の危機」に対する備えなくして、天災や人災、原子力災害等に立ち向かうのは、逆に「無謀」なのではないでしょうか?。
「想定外」を想定する想像力とバランス感覚が求められています。

 「足と靴の相談室」ロビンフット長津田 http://www.robinfoot.co.jp/

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有限会社ロビンフット

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