桜咲くころ お花見をしたいね 建墓物語
民間霊園に移設できるかどうか?相談はそこから始まりました。
どうしても遠くてなかなか通うのがきつくなってきた。
そう、今暮らす神奈川の湘南エリアとは違う日本海にほど近い新潟県の墓地。
二十代以上前のご先祖様から祀るその墓地を手放すことも御主人をなくされた老婦人は気持ちを整理できずにいた。
「血のつながりのない私が結論を出していいのか?」
やっと一族に納得いただける墓地を見つけたものの、民間の霊園。
古い石の持ち込みはできませんと記されていた。
すべてをなくし1からというのはわかっていてもやりきれない。
その心の状態でご相談がありました。
新品に見える方法はゼロではない
お話しを進めるとお墓の写真があるという。
まずその大きさがわかれば再加工(切削研磨)をすることで新品同然にすることは確認ができる。
土台周りはコンクリートとたぶんその土地の石材を使用しているようでそこはあきらめるとしてお墓は再加工できる十分な大きさがありそうだ。
お墓と同じ国内の石材の原石も手に入るので下回りの土台や外柵部分は新規に、お墓は今までのもので新品同然になるということでお客様も決心がついた。
正面に彫られていた「累世墓」という文字の拓本を取り、その文字も復活させるようにした。
お客様の顔色は以前とは違い明るくなった。
弊社で新潟までお墓を受け取りに行く
先行して現地の石材店で墓石の取り外しまではやっていただいた。
写真のような状態で現地に取り外されていた。
なぜなら、思い出も持ち帰るために
配送時になくなっては困るものがあった
お墓にまつわる家族の思い出
写真の右上部に小さなカラフルな石が埋め込まれた平板がある。
これは亡き主人とまだ若かりしときにこどもたちと海で拾ってきた小石
お墓の周りのコンクリートを打つときに皆で並べて付けたというものだった。
この小石も少しでも持ち帰りたい
その希望をかなえ平板ごと持ち帰りそのあと取り出しました。
家族の思い出とともに納骨
無事お墓は完成し納骨
カロート(納骨室)の中に砂を敷き、そこに一つ一つ並べました。
コンクリートから取り出すときにいくつか割れてしまいましたが9割くらいは取り出せました。
代々の歴史を伝える石、家族の思いが残る石をお墓の引っ越しと一緒にさせていただきました。
できないと言ってしまえば簡単なことですが、一つ一つに宿る思いや歴史を私たちは取り扱っていると自覚し今後もお墓に関わらせていただきます。