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食欲とホルモン

上村徳郎

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テーマ:ダイエット

消化管ホルモンは胃や腸から分泌するホルモンであり、迷走神経や血液を介して脳の視床下部を刺激することで食欲を調節しています。

促進
グレリン(胃・十二指腸)

抑制
GLP-1(小腸)
レプチン(脂肪細胞)

グレリン

グレリンは胃を中心にG細胞から分泌され、食欲を促進します。全身に広く分布するグレリン受容体に結合して多彩な生理作用を示します。

運動が食欲を抑制する?GLP-1

食欲抑制ホルモンであるGLP-1は、食事をとって血糖値が上がると小腸にあるL細胞から分泌されて膵臓のβ細胞内からインスリンを分泌させます。また有酸素運動が食欲抑制ホルモンであるGLP-1の血中濃度を増加させて、運動後の食事量を抑制することも報告されています。これは、運動が消化管ホルモンを介して食欲を抑制することを意味しており、運動が単にエネルギー消費量を増加させるだけではなく、食欲を調節して過食を予防するということも意味します。

免疫にも関連 レプチン

肥満症が免疫系に対して影響を有しており、肥満症は感染症の頻度の増加、重症化に関わることは以前から知られていました。これは脂肪細胞が分泌するレプチン(摂食行動を抑制)などの炎症を促進させるアディポカインの分泌が亢進し、アディポネクチンなど抗炎症的なアディポカインの分泌が抑制されることで主にウイルス感染の早期に重要なインターフェロンの制御異常が起こるためです。この結果、獲得免疫系の細胞老化、代謝異常などの機能的異常や自然免疫系細胞の機能障害が起こります。

太って増える脂肪から食欲を抑制するホルモンが分泌され、食事を消化する胃から食欲を促進するホルモンが分泌されていることは興味深いですね。また運動は血糖の消費のみならず、食欲を抑制することでもダイエット効果がありそうです。肥満は感染症にも弱くなりますので日々の生活に運動を取り入れ、食事にも注意しましょう。

未病に対する運動の基礎から応用まで 運動と食欲との関係 消化管ホルモンに焦点をあてて
日本未病学会雑誌 (2435-8584)27巻1号 Page38-43(2021.03)

肥満と免疫機能異常 肥満症における感染症の重症化機構
肥満研究 (1343-229X)27巻3号 Page113-118(2021.12)

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上村徳郎
専門家

上村徳郎(内科・腎臓内科医)

医療法人愛徳会 上村内科クリニック

内科・腎臓内科の治療を専門にさまざまな病気の要因となる生活習慣病の予防にも力を入れています。生活習慣病に関わる食生活や栄養の見直しを予防の基本とし、食事法などをアドバイス。テレビ番組などの医療監修も。

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