花粉症とビタミンD
加齢とともにサルコペニア(高齢期にみられる骨格筋量の減少と筋力もしくは身体機能の低下をきたした状態)やフレイル(加齢により心身が老い衰えた状態)が問題となります。栄養不良、活動不足などに加え、糖尿病に代表される生活習慣病やがんなどの消耗性疾患が発症リスクを上昇させるのです。
予防には蛋白(タンパク)質の摂取
近年、サルコペニアやフレイルの予防に対する蛋白質摂取の重要性が強く意識されています。いくつかの研究から高齢者の筋肉量筋力、骨量や死亡率などを考慮した場合の蛋白質摂取量は少なくとも1.2~1.5 g/kg 体重/日(摂取エネルギー比率で 15~20%相当)とも報告されています。体重50kgの方では60~75gとなり、かなりの量です。
わが国でも「サルコペニア診療ガイドライン2017 年版」において、サルコペニアの予防・改善のため、少なくとも 1.0 g/kg/日の蛋白質摂取が必要とされています。
日本人の2型糖尿病患者を対象とした研究
75 歳以上の患者では蛋白質摂取量減少が死亡率上昇と関連すること、とくに蛋白質摂取量が 0.9 g/kg/日未満のグループで死亡率が最も高いことが報告されています。蛋白質の摂取が少ないのはよくないのです。
糖尿病の場合
糖尿病性腎症(糖尿病が進行しておこる腎臓病)に対しては蛋白質制限が有効であるとする報告がある一方、高齢者糖尿病ではサルコペニアやフレイルの発症・重症化予防のため、十分な蛋白質摂取が優先されることもあります。
低蛋白質食を実施しないのであれば1.3 g/kg/日未満(サルコペニア、フレイルあるいはそのリスクがある場合にはGFR≧60 mL/分/1.73 m2であれば 1.5g/kg/日まで許容)
低蛋白質食を実施する場合でも 0.8 g/kg/日を下回らないようにすることが推奨されています。
高齢者では蛋白質が足りない場合が多い
高齢者では蛋白質摂取が減る傾向にあるので、肉や魚はもちろん納豆やチーズなどの摂取を勧める必要があります。とくに、十分な蛋白質摂取が困難な場合には骨格筋の維持に重要なロイシンなどの必須アミノ酸を多く含む食品を活用することも大切です。
プロテインはジムでトレーニングしている若い人のイメージがありますが、実は御高齢の方も検討に値するものなのです。しっかりと蛋白質を摂取してサルコペニア・フレイルを防ぎましょう。
【意外と知られていない!? 自科の常識・他科の非常識】
(第9章)糖尿病 高齢糖尿病患者にはしっかり食べさせたほうがよいこともある
内科 (0022-1961)128巻3号 Page658-661(2021.09)