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痛みとマグネシウム

上村徳郎

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テーマ:マグネシウム

マグネシウムは痛みの治療に使用されることがあります。


片頭痛

マグネシウムには脳保護作用がある可能性が示されており、片頭痛の急性期にマグネシウムの静脈内注射で発作を改善させた報告もあります。片頭痛の発作に対するマグネシウムの予防的投与量は1日200~600mgです。

生活習慣病発症要因としてのマグネシウムの重要性
日本未病システム学会雑誌 (1347-5541)25巻2号 Page22-30(2019.08)

術後疼痛

近年Mgはmultimodal analgesia(多様性鎮痛)のための鎮痛薬として再び注目されています。低用量で併用することで副作用なくオピオイドの使用量を低下させることが知られており、術後疼痛管理の改善が期待されています。

古典的薬物の新しい使い方
臨床麻酔 (0387-3668)44巻12号 Page1569-1573(2020.12)

三叉神経痛

抗てんかん薬や非抗てんかん薬を単独または併用で6ヵ月~4年間にわたり投与された三叉神経痛の患者で、満足できる除痛が得られず、様々な副作用を経験していた方にリドカインとマグネシウムの静脈内投与を施行したところ全例で除痛が得られています。

難治性三叉神経痛の管理のためのリドカインとマグネシウムの静脈内投与 患者9例の症例シリーズ(Intravenous lidocaine and magnesium for management of intractable trigeminal neuralgia: a case series of nine patients)
Journal of Anesthesia (0913-8668)27巻6号 Page960-962(2013.12)

止血帯疼痛

N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬の硫酸マグネシウムが止血帯疼痛を緩和する可能性について検討。二重盲検法でマグネシウム1g(M1)、2g(M2)、4g(M4)、または生理食塩水(対照)を15分間で静注し、止血帯処置を行い60分間または疼痛スコアが100になるまで継続して観察。その結果、疼痛スコアは対照群に比べてM4群で有意に低く、疼痛スコアの曲線下面積は他群に比べてM4で有意に小さかったとのことです。硫酸マグネシウムの4g投与は健康な被験者において止血帯疼痛を有意に緩和しています。

硫酸マグネシウムは健康な被験者において止血帯疼痛を緩和する(Magnesium sulfate attenuates tourniquet pain in healthy volunteers)
Journal of Anesthesia (0913-8668)27巻2号 Page231-235(2013.04)


マグネシウムは疼痛になんらかの影響を与えており、投与により改善することが報告されています。マグネシウムは「痛み」にも有効のようです。日常的に摂取をこころがけましょう。ただし、腎機能が低下している方は高マグネシウム血症になる可能性がありますので主治医に御相談ください。

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上村徳郎
専門家

上村徳郎(内科・腎臓内科医)

医療法人愛徳会 上村内科クリニック

内科・腎臓内科の治療を専門にさまざまな病気の要因となる生活習慣病の予防にも力を入れています。生活習慣病に関わる食生活や栄養の見直しを予防の基本とし、食事法などをアドバイス。テレビ番組などの医療監修も。

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