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更年期障害と漢方薬

上村徳郎

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テーマ:更年期

  1. 顔のほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)・発汗などの血管運動神経症状
  2. 疲れやすい・めまい・動悸・頭痛・肩こり・腰痛・関節痛・足腰の冷えなどの身体症状
  3. 不眠・イライラ・不安感・抑うつ気分などの精神症状

などで日常生活に支障をきたす場合を更年期障害と呼びます。

更年期症状の原因は大きく分けて2つ

一つは卵巣機能の低下(女性ホルモンの不足)です。女性ホルモンが減少することで起こる症状には女性ホルモン補充療法(HRT)が有効ですが、乳癌(とその既往)、静脈血栓塞栓症(とその既往)の方などには使いにくいと考えられています。

もう一つは心理的、社会的な影響です。夫の定年や子どもの独立、親との死別といった社会的環境が変化することで眠れない、落ち着かないなどの症状が出てきます。
これらの原因が複合的に影響することにより様々な症状が発現すると考えられています。

漢方薬

代表的な症状である顔のほてり・のぼせは更年期症状の30%程度に認められます。ホットフラッシュとよばれる症状ですがHRTが有効です。しかし、既往症によっては使いにくい場合もあり漢方薬も使用されます。特に急激な発汗を伴うホットフラッシュには桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)加味逍遙散(かみしょうようさん)が勧められます。

性差を意識した診療 性差医療を踏まえた漢方医学的アプローチ
内科 (0022-1961)127巻5号 Page1079-1084(2021.05)

また比較的華奢な体格の方で精神症状や不眠があり、症状が多彩で定まらない場合には加味逍遙散が用いられます。ただし副作用もあるため長期使用には注意が必要です。
肩こり、頭痛、冷え、のぼせ等の症状があり、下腹部の圧痛などがある場合には桂枝茯苓丸が用いられます。

領域別おすすめ漢方治療 産婦人科 月経前症候群、更年期障害
Medicina (0025-7699)58巻8号 Page1202-1206(2021.07)


肩こり

加味逍遙散、桂枝茯苓丸に当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を加えて女性の3大処方と呼ばれています。まずは1か月使用してみて、続けるか評価してみましょう。比較的使いやすく、効果が認められている漢方薬で治療を検討されてみてはいかがでしょうか。

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上村徳郎
専門家

上村徳郎(内科・腎臓内科医)

医療法人愛徳会 上村内科クリニック

内科・腎臓内科の治療を専門にさまざまな病気の要因となる生活習慣病の予防にも力を入れています。生活習慣病に関わる食生活や栄養の見直しを予防の基本とし、食事法などをアドバイス。テレビ番組などの医療監修も。

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