鉄の過剰症に注意
イライラしやすい、集中力がない、神経過敏、立ちくらみ、めまい、耳鳴り、頭痛、関節痛、筋肉痛、腰痛、喉の違和感、冷え症、寝起きのだるさ、疲れやすい、皮下出血、肌・髪・爪のトラブル(コラーゲンの劣化)、ニキビ、肌荒れなどで当てはまる症状はありませんか。
「うつ」気味、または「うつ病」ではないかと心配な方はいませんでしょうか。実は、このような症状は「鉄欠乏」が原因かもしれません。
日本人女性全体の約1割(600万人)、月経のある女性では約2割が貧血ですが、その中で最も多いのが「鉄欠乏性貧血」といわれています。
フェリチンという検査項目をご存知でしょうか。「体内に貯蔵されている鉄」の指標なのですが、一般的な検査では測定しません。貧血はないのに、このフェリチンが欠乏している「潜在性鉄欠乏症」の方も非常に多いのです。そして、鉄欠乏性貧血の方はもちろん、潜在性鉄欠乏症の方も先ほどのような症状を生じうるのです。
なぜなら、鉄は赤血球の原料であること以外にも様々な役割があるからです。様々な酵素を活性化したり、酵素の構成成分になったり、コラーゲン合成やエネルギー産生、神経伝達にも関わっています。
一般臨床医が診るおもな貧血 潜在性鉄欠乏症の診断と治療
診断と治療 (0370-999X)107巻5号 Page569-571(2019.05)
また、うつ病は鑑別疾患として鉄欠乏が重要とされています。食事療法や鉄剤がうつ症状に有効な可能性もあるのです。
うつ病の除外診断と併存疾患
心身医学 (0385-0307)60巻1号 Page44-49(2020.01)
特に月経のある年代の女性にはいろいろな症状が出現しますが、それらは鉄欠乏性貧血や潜在性鉄欠乏症で説明できる可能性があります。肌荒れを化粧品のせいにしていませんか?お肌のトラブルの原因は「鉄欠乏」かもしれません。もし気になる症状がある方、健康診断では「異常なし」といわれるのに体調不良で困っておられる方は、血液検査でフェリチンを測定してみましょう。15~20ng/mL以下でしたら治療により改善する可能性があります。