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新型コロナウイルスとビタミンD

上村徳郎

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テーマ:新型コロナウイルス

ビタミンDについては以前から「インフルエンザの予防効果」を認めた文献もあり、新型コロナウイルスへの効果も検討されています。

サン・パウロの施設で中等症から重症の新型コロナウイルス患者を対象として行われた研究では
退院までの期間、死亡率、ICUへの入室、人工呼吸の必要性について有意な差はありませんでした。ビタミンD投与の有害事象は無かったとのことです 。
また急性呼吸器感染症の予防に関する研究では、1つ以上の急性呼吸器感染症を起こす割合は対照群よりも有意に低く、防御的効果は毎日400~1000 IU投与、12ヶ月以内の期間、登録時1歳~16歳未満の参加者の臨床試験において認められたとのことです。

D. A. Jolliffe, et al. Vitamine D supplementation to prevent acute respiratory infections: a systemic review and meta-analysis of aggregate data from randomosed controlled trials. Lancet Diabetes Endocrinol, March 30 (online), 2021.

ビタミンDと新型コロナウイルスの関連を調べたシカゴ大学の研究では、新型コロナウイルス検査前のビタミンDの状態は25%の人が「不足と考えられる」に、59%の人が「十分と考えられる」に、16%の人が「不明」に分類されました。その後、全体で15%の人が新型コロナウイルスの検査で陽性となりましたが、ビタミンDが「不足していると考えられる」人と「十分と考えられる」人を比較したところ陽性率に関連があったとのことです(不足群でのCOVID-19の予測率は26.1%であったのに対し、十分群では12.2%であった)。

D. O. Meltzer, et. al. Association of vitamin D status and other clinical characteristics with COVID-19 test results. JAMA Network Open, 2020;3(9):e2019722, September 3, 2020.

ウイルスと戦う人
まとめると、ビタミンDの摂取は安全で、急性呼吸器感染症のリスクを全体で低下させていたが、リスクの低下は小さかった。またビタミンDの過不足は新型コロナウイルスの検査結果に影響を及ぼした可能性がある、と言えるでしょう。いろいろな意見や解釈があると思いますが、最も大切なことは「安全」なことではないでしょうか。ビタミンDは毎日の食事(鮭、きのこ類)から取れます。食生活が気になっている方は、いちど血液検査でビタミンDを測定してみてはいかがでしょうか。不足していたらサプリメントの摂取をお勧めします。

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上村徳郎
専門家

上村徳郎(内科・腎臓内科医)

医療法人愛徳会 上村内科クリニック

内科・腎臓内科の治療を専門にさまざまな病気の要因となる生活習慣病の予防にも力を入れています。生活習慣病に関わる食生活や栄養の見直しを予防の基本とし、食事法などをアドバイス。テレビ番組などの医療監修も。

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