コラム
スペイン風邪で、北陸のある町が消滅した
2020年7月14日 公開 / 2021年3月2日更新
今回の新型コロナで注目されるようになった、約100年前に流行した「スペイン風邪」。
福井県大野市に、面谷(おもだに)という銅を採掘する鉱山があった。
その鉱山で働く労働者と家族等で、約3,000人が住む町でもあった。
当時の面谷鉱山の様子
しかし、スペイン風邪がこの町を襲い、約1,000人以上の住民が瞬く間に感染した。
その町には、医者、看護師、薬剤師を合わせて5人の診療所があるのみで
感染が広がり始めてから、1カ月で約100人の死亡者が出た。
火葬が追いつかず遺体は物置に置かれ、火葬場の建物も連日の火葬の余熱で焼失し
野天で荼毘にされた。
短期間で町が消滅した原因として・・・
当時の鉱山労働者の給与は出来高払いのため、体調不良を押してでも働かなければ
ならない生活環境にあったこと。
狭い社宅に、大人数の家族が住んでいたこと。
労働者と家族の慰安のために、劇場で慰安会が開催されたことなど、
いくつかの「3密」が重なったことで、町が消えるという悲劇が起こってしまった。
いまは、その悲劇を記した石碑だけがひっそりと残っている。
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