コロナ禍の四万六千日
先日、上皇陛下のお誕生日に際しご近況が発表された。
その中で、両陛下はご朝食後お忙しい日程が始まる前の短時間
お二人ご一緒に一冊の本を、交互に音読されることを習慣とされ
現在は山本健吉さん(1907年~1988年)の「ことばの歳時記」を
読まれている・・・という内容であった。
筆者も、この「ことばの歳時記」を取り寄せ読んでみると
大変興味深い箇所があった。
「雑煮」という短文で、その一部は以下の通りである。
私が本当においしいとと思ったのは、金沢の雑煮だった。
私の母は金沢の生れだったから、三が日のうち一回だけは
雑煮を金沢式に仕立てた。
それは昆布だしの汁の中に、焼かない餅を入れて煮込む。
今、東京などで食っているような、機械づきの餅では駄目。
餅がどろどろに崩れて汁が濁ってしまう。
いくら煮ても崩れない、切った角が鮮やかに残っている
腰のしっかりした餅でなければならない。
搗くとき手を抜いては、駄目なのである。
その、とろりと柔らかく煮上って崩れない餅を、椀に盛り
汁に浸らない餅の上に、花がつおをのせる。餅の外に、余計なものは何も入れない。
是でも雑煮と言えるかどうか知らないが
一番贅沢で、おいしい雑煮は、この金沢の雑煮なのである。
意外なところで上皇上皇后両陛下と、金沢との接点があったようだ。
両陛下は「金沢の雑煮」を、お食べになったであろうか・・・