「透明」に色付く現代社会
先日、「ぬれ甘なつと」「花園万頭」で親しまれていた花園饅頭社(東京都新宿区)が業績不振のため自己破産申請をしました。
東京土産として、「ぬれ甘なつと」を食された方も多いと思います。
ぬれ甘なつと像
1834年(天保5年)金沢で創業した石川屋本舗をルーツとし、金沢にゆかりのある老舗店です。
意外とあの「ぬれ甘なつと」のルーツが金沢であったことを、ご存知出ない方が多いと思います。
1906年(明治39年)に3代目の石川弥一郎氏が暖簾分けの形で上京し、最初は青山で産声をあげます。しかし、1929年(昭和4年)に火災で店舗と工場を全焼失します。
翌1930年(昭和5年)に、加賀藩前田家の御用地であった現在地(東京都新宿区)に移転。
近くの花園神社に因んで「花園万頭」と名付けた新製品を発売し、屋号も「花園万頭本舗」に変えます。
花園万頭
花園万頭は細長い俵型で材料と製造方法にこだわり、千葉県産とろろ芋、上新粉、上白粉で生地を作り、北海道十勝産の小豆、ざらめ、四国和三盆糖で練り上げた餡を包んでいます。
そして、一つずつ職人の手で作られています。
発売以来「日本一高い、日本一うまい」を、一貫してキャッチコピーとして販売してきましたが、生菓子であることから日持ちが3日間と短いため、ネットでの取り扱いはせずまた数量限定販売となっていたため、ほとんどが早く完売してしまう菓子でした。
バブル期の不動産投資による有利子負債と、ピーク時の売上の半減になるほど業績悪化が原因として、今回の自己破産申請となったようです。
老舗企業といえども、本業以外に広く手を出すこと、時代の流れや消費者の「風」を読み間違えると消えていく教訓例のようです。
まさに、「盛者必衰の如し」です。
いま銘菓が一つ消えようとしています。
(注) 金沢にある石川屋本舗と今回の花園饅頭社とは、現在では全く関係はありません。