紛らわしい「掲示」
あるご縁により、富山の獅子舞を間近に拝見する機会をいただいた。
意外と知られていないが、富山県は全国でも屈指の獅子舞伝承数で、その数は1,300とも1,500とも言われている。
春の祭りには豊年を祈念して、秋の祭りは五穀豊穣に感謝し、て獅子が家々を廻る。
また役宅や結婚、新築など吉事の家でも華麗にその舞を披露する。
今回拝見したのは「射水型百足獅子」で、神通川左岸の射水平野地域に現存する獅子舞。
素手で胴幕を支え、百足獅子を作り出す。
天狗や花笠を付けた2人1組の童子が、色々な採り物を手にして獅子と対峙する。
小休憩を挟んで舞うこと約1時間、その間一糸乱れず華麗な舞は続く。
また、天狗が松明を持って獅子に向かい、獅子に清酒を飲ませ酔わせるなど、その舞は圧巻そのもの。
そして、その舞の中には「祈りと感謝」が物語として伝承されている。
最後は、一変して獅子と天狗、童子は対峙から一体となって、その姿を変える。
たぶん、その瞬間に神が宿るのであろう・・・
獅子は神秘的な力をもった霊獣といわれ、降臨した神の露払い役と言い伝えられている。
それを演じる「富山の獅子さんは大忙し」のようである。
いま全国で8,000ほどの獅子舞があると言われているが、地方の過疎化と東日本大震災の影響で、その数は激減しているとのこと。
庶民の伝統芸能が、消えていくのは寂しい限り。
いつまでも、「大忙しの獅子さん」でいて欲しいと、筆者は願うばかりである。