失敗事例から学ぶ中古住宅のリノベーション
図面が保存されていない中古住宅を頻繁に見かけます。このような中古住宅は、「購入しないほうがよい」といった声を耳にしますが、必ずしもそうとは言えません。図面よりもほしい書類は、「検査済証」です。図面は建築現場で用意できる書類ですが、検査済証はそうもいきません。
図面がない中古住宅は一般的
お客さまから「購入を検討している中古住宅を調べると、図面がないことがわかった。購入しても大丈夫か」という質問を受けました。結論から言えば、「購入しても問題ない」という回答になります。
実は、このようなケースは頻繁に見られ、築年数が経過した中古住宅の場合、間取り図しか保存されていないということはよくあります。たとえ、図面がなくてもほとんどの場合、住むには問題はありません。
というのも、図面がなくもて現地の間取りを実測して、おおよその図面を作成することが可能です。しかし、この図面作成が「リフォーム時のコストアップにつながる」という可能性はあります。
図面がないということは、リノベーションの際、リフォーム会社が新たに図面を書く必要が出てきます。当然、ひと手間増えることになるため、追加負担を求められることもあります。
しかし、その金額が何十万円もかかるというわけではありませんので、過度に心配する必要はないでしょう。それに、無料で対応してくれるところもあります。上述した通り、図面がない中古住宅でも購入には問題はありません。
図面がないと困ることとは?
実際にリノベーションをする際に、お客さまから「この壁を取り除きたい」といった要望があるとします。
このとき図面がないと、家にとって重要な役割を果たす柱がその壁の中にあるのか、また筋交いは入っているのか?など、壁の中のことがわかりません。
それゆえ、「壁を解体してみないとわからない」といった状況になることはあります。
こういったことは築年数を経た物件ではあり得ることなので、施工会社ときちんとコミュニケーションを取りながら、現地調査をしてリノベーションを進めていきましょう。
ないと困る書類のひとつが「検査済証」
図面は現場対応で何とかなるものの、中古住宅に関する書類のなかで、なくては困る書類があります。それが「検査済証」です。
「検査済証」とは、その建物が建築基準法に基づき、建築主が建築主事や指定検査機関から、一定の検査を受けたことを証明する書類のことです。
つまり、検査済証は、「公の機関がこの住宅をきちんと検査しました」という証になる書類です。
このような書類がしっかりと保存されていれることが望ましいので、検査済証の有無は不動産会社や売主にしっかりと確認をしましょう。
かつての検査率は20%程度、検査済証がない物件もある
さて、多くの方は検査済証が当然に発行され、保存されているものだと思うかもしれませんが実態は異なります。近年は、建築確認を行うことが通常の業務になりつつありますが、昔はそうではありませんでした。かつて検査率は20%程度だったといいます。
そのため、検査済証がないケースもあり得ます。2002年~2004年には、受検率を上げるための3カ年計画が実施され、国や自治体による違反建築物の取り締まりが強化されました。2003年には金融機関に対して、検査済証がない建物への住宅ローンの融資を控えるよう国土交通省から要請があったため、以前に比べて検査を受ける率は上がっています。
家を建てる際には、
建築確認を取得→工事着工→中間検査(建物の規模による)→中間検査合格証の取得→工事完了→完了検査→検査済証の取得
上記のような流れをたどります。
築年数を経た古い住宅では、建築確認を受けて着工するものの完成した後に完了検査を受けていないものがあります。
こういった事情もふまえ、中古住宅を選ぶ際は実績のある不動産業者を通じて家探しをされることをおすすめします。