事始め
ゴムボールに力を加えると凹みます。ボールは元に戻ろうとして反発します。
この、加わる力がストレッサー。凹みがストレス。反発する力がレジリアンスです。
いずれも物理学用語でしたが、心理状態を表わすのにも用いられるようになりました。
本来ならばストレッサーが無くなれば、凹みは自然に回復し、もとに戻ります。
しかし、強い、あるいは長期にわたるストレッサーでは回復しにくい場合があります。
ストレッサーとなるものには様々なものがありますが、この度の大災害では複合し、
形を変えながら長期にわたりストレス状態を引き起こす可能性があります。
食欲・睡眠・安全の確保という、生きていくために必要なものが満たされない状況の中では、
まず何よりこれらのことが最優先に必要でした。
そしてその不足が最大のストレスを引きおこします。
これら生存の欲求が満たされてきて、やっと次の欲求が生まれることができるのです。
突然、日常生活を遮断されたことによって生じた様々な変化を元に戻す、
あるいは新たに作るための欲求・ニーズが生じるのは当然なことです。
そしてその力があるから、生活を復旧・再建、人生を再建していくことができます。
こころもからだも強いストレス状態に陥り、自分自身を守るために様々な生体防御反応が起こります。
これらは、正常な反応で徐々にもとに戻っていきます。
けれども生死にかかわるこの度の厳しいストレッサーに、トラウマ反応が起こる可能性があります。
しかしこれはすべての人におこる反応ではありません。
「個人の持つ様々な資源」と「私的・公的な支援」によって異なってきます。
こころもからだも、自分自身を守るためにサインを出してくれています。
このサインは、悪いものではないと肯定的にとらえてください。
そして外に出せる時がきたら出してあげて下さい。
かつてはつらい体験を早い時期に詳細に聞くことが、PTSDの予防になると考えられていましたが
追跡調査によって、その聞き取りが逆にPTSDを増やすということが解っています。
周りの支援する側は無理に聞き出すことはせず、自然に話せるときがきたら聞ける環境を整えてください。
そして抑うつ状態や強い不安などの症状のある方を、スムーズに治療につなげることが大切です。
日常の中でできる範囲の、ストレスケアをお勧めします。
様々なものがありますが、これまでの生活の中でやってきたことを続けることが可能であればそれを行なうのがいいと思います。
心身が消耗しているときに、新しいことを覚えたり始めることもストレスになりますから。
リラックスするために、好きな音楽をきいたり、香りをかいだりするのも良いでしょう。
柔らかいもの、手触りの良いものを胸に抱くことは安心感を与えてくれます。
その時に湧き上がってくる感情は抑えないで出してあげて下さい。
ストレスケアとして一人~数人で出来るものがあります。
ここではセルフケアの【バタフライハグ】を紹介します。
『自分自身を抱きしめてあげる』気持ちでやってください。
1.肩や腕に力を入れてから、一気に力を抜きます。
2.深呼吸を数回して、呼吸を落ち着かせます。(息を吐ききってから深く吸います)
3.胸の真ん中に数秒両手を置きます。
4.両手を胸の前で交差させ、肩から二の腕あたりを左右交互に軽くタッチします。(2分程度)
自分が落ち着く速さで。目安は心臓の鼓動の早さです。
5.呼吸を整え、静かに目を開けます。
この時に湧き上がってくる言葉、感情も、抑えないで出してあげて下さい。
【タッピング・タッチ】もお勧めです。(一人でする方法もあります)
被害に遭われた方も、支援にあたられる方も
そして見守る全ての人へ・・・
力が入ったままの、からだを緩めましょう。
からだを緩めると、こころも緩んできます。
『マズローの欲求の階層説(2010-05-27)』
http://mbp-japan.com/hyogo/yu-cocoro/column/9844
『レジリアンス (2011-03-15)』
http://mbp-japan.com/hyogo/yu-cocoro/column/18166
『トラウマ〈心的外傷〉(2011-03-13)』
http://mbp-japan.com/hyogo/yu-cocoro/column/18119
『一人ひとりに出来ること。(2011-04-01)』
http://mbp-japan.com/hyogo/yu-cocoro/column/18600
『タッピング・タッチ(2011-03-26)』
http://mbp-japan.com/hyogo/yu-cocoro/column/18437
『ストレスのセルフケア~バタフライハグ~(2010-12-19)』
http://mbp-japan.com/hyogo/yu-cocoro/column/15755
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