重陽の節供(菊の節供)

椎結子

椎結子

テーマ:中医学

菊茶
先月こちらで紹介いたしましたように
『8月8日(2010-08-08)』
http://mbp-japan.com/hyogo/yu-cocoro/column/11993

数字を陰陽で分けた場合 奇数が『陽』で

『陽』の重なる日をおめでたい日としてお祝いの行事があります。

そのため、最高の陽数である9が重なる九月九日は、重陽の節句として「九」が持つ霊力に長寿を祈る日とされて来ました。
(九重ここのえ、重九ちょうきゅうともいわれます)

菊をこの日の景物として、菊の節供ともいい「今日の菊」と言えばこの日の菊のことをいいます。

菊は香りが高く、気高い花です。
中でも黄菊・白菊は最も気品のあるものと考えられてきました。

日本では古くから重陽の節供の前日に、「着せ綿」と言って菊の花に綿を置く行事がありました。

夜のうちにその綿に菊の香りと露が染みたものを、九日に袂に入れると長寿が約束されるといいました。

枕草子にも次のように著されています。

『九月九日は、暁がたより雨すこし降りて、菊の露もこちたく、覆いたる綿などもいたく濡れ、
移しの香も持てはやされて、つとめてはやみにたれど、なほ曇りて、ややもせば降りおちぬべく見えたるもをかし』


宮廷では重陽の宴が行われ、群臣に菊の酒を賜るなど位の高い階層の間では、佳節として祝宴が張られました。

「重陽の節句」は天皇家でお祭りされていますが
菊花が天皇家の紋章になったのは後鳥羽上皇(1180~1239)の時からです。

 
また、節句というのは季節の区切りということでもあります。

九月になれば民間の間ではそろそろ冬の準備に取り掛かるころでした。

この日は栗御飯などを炊いて不老長寿を祝っていました。

しかし、民間では「公的性格」の強いこの節供は他の節供ほど定着せず、明治以降急速に廃れたようでした。


重陽の節供を題材にした物語に上田秋成の『菊花の約(ちぎり)』がありますね。

学生時代に習ったことのある方も多いのではないでしょうか?


今年は残暑が厳しく、秋の気配は遠いです。

馴染の薄い節供ですが、菊の節供に『菊茶』などいかがでしょうか?

清熱作用(からだの熱を冷ます)働きがありますので今年の残暑には特に良いと思います。

中華街で、プーアール茶とブレンドされたティーバックなども売られています。

目にも良いので、秋の夜長の読書に疲れた目にもお勧めです。



〈中医学 32〉

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