「できない」→「できる」意識コントロール
自分の心と体の状態を把握してできることをする
正直なところ、感心している。
本人に少しでも不安が見られたり、迷いがあるなら止めるが
この人は自分の状態をとても冷静に見て、決して無理せず
自分が不安を持っていないことに関して、細心の注意を払ってレッスンしている。
こちらが「これはやめた方がいいな」と思うことは
こちらが言う前に休む。
見ていて危なげがない。
こちらの思うことと本人が思うことに違いがないのでできることだし
本人が出来ると思うことだけやってもらおうと思っていることを
彼女がわかってくれている。
長い信頼関係があってできることだし
信頼関係があっても、その人の環境が本人がしたいと思うことを
受け入れられる状況かどうかでも違ってくる。
それぞれ違うものだから、誰にでもできることではない。
彼女は今週で8か月になる妊婦さんである。
幼児の頃からのお付き合いで、私のアシスタントをしてくれて長い。
1月には舞台にも出た。
妊娠してから、体の状態がどんどん変わっていくのに合わせて、自分自身で意識しているので
まっすぐたつと、妊娠していない人がお腹に何か入れているみたいな感じ。
妊娠初期に反り腰状態になるときつくなることがわかって、
自分の体にできる限り負担がかからないよう、裏側の意識に余念がない。
坐骨の感覚も仙骨の状態も、当然今までとは違ってくる。
お腹が大きくなった分、負担がかけず、お腹がつかえたりしないように
自分でお腹を支えてもらったりしていたが
「今までで一番股関節の引き込みができるようになりました(笑)」
この人は怪我をしたこともなければ、傷めたこともない。
それが妊娠したことによって、出てくる痛みや不具合を経験して
より使い方を注意するようになっている。
自分の体の変化に合わせて、自分でできるコントロールをしている。
私も彼女を見ていて、わかることがたくさんあり、勉強させてもらっている。
妊娠してからより体の感覚や理解が深まり、我を忘れることがない。
自分が出来ることをしながら、母親になる覚悟ができているのだろう。
どれもマイナスに考えていないからできている。
自分のしたいことはするが、着る限り負担がかからないように考えていくことで、
赤ちゃんを守っているということになる。
今までしていたことを、何もしなくても妊婦さんの体には負担がかかる。
「子供が出来たのはとても嬉しいけれど
そのためにじぶんがしたいことを全部やめておくのは、自分の中で違う」
と、舞台にも出たが、私も悩みに悩んで覚悟を決めた。
最大限、負担と危険が少ないように考えて、今の彼女が集中できるようにした。
周りのサポートとコミュニケーションも期待以上だった。
無事、舞台は終わり胸をなでおろしたが
終わった後も自分のペースでレッスンを続けている。
もう間もなくだが、彼女の考えるペースに付き合う。
人それぞれ違うのだから、誰もが同じではない。
人に寄ってこちらのできることも変わってくる。
不安がある人はそれはいけないことではない。
不安があればやめておいていいのだ。
自分の内なる声に従うのがいい。
彼女の考えにゆるぎがないから、私も付き合っている。
自分で無理をしないことはわかっているが、こちらも無事に産まれて来てもらうまで
注意していこうと思う。
会うたび、お腹が大きくなっている。
これからがより大切だ。