舞台出演のお知らせ
時を超えて受け継がれていくもの
昨日、書ききれなかったことの続きを・・
早くからこの舞台を見に行くことを予定しており、
まさかWSをすることになるとは、その時は思っていなかった。
仕事が済んで、心行くまでじっくり拝見させて頂いた。
モダンダンスを日本に根付かせる、その大きな源になられた先達がおられなくなっても
こうして作品は残っていく。
100年近く前に作られた作品は、今見ても新鮮で力強く
生きるエネルギーに溢れている。
石井 漠先生
執行 正俊先生
櫓 健次先生
江口 隆哉先生
コンクールの賞の冠で知っているお名前の先生方。
石井みどり先生の師匠であられた石井 漠先生や
外山 千鶴先生の師匠であられた江口 隆哉先生のお名前しか知らなかったが
この流れの末端に自分がいて、今、この場でその作品を拝見している不思議。
古さを感じさせない。
自分が生まれるうんと以前に踊られていた作品であるにも関わらず
胸に飛び込んできて、懐かしく思える。
ダンサーは中性に近いのか!?
男性が女性の衣装でも、女性が男性の衣装でも
どちらでもよくなってくる。
男性だから、女性だからの観点でなく
そこから伝わってくるものは、人間そのものである。
目を見張り、時にはふふっと笑ったりしながら
自分のルーツを感じる嬉しさと安心感。
ビデオさえ残っていない時代の作品を見せてもらえることは
今後おそらくないだろうと思われる貴重な機会だ。
石井 みどり先生の「体」 使用曲:ストラヴィンスキー「春の祭典」(初演 1961年)
この作品は25年くらい前に私も踊らせていただいたことがあり
本当に見たかった。
その時代によって、同じ作品であっても表現も感じるものも違うと思う。
戦後のまだ安定しない時期に踊りを志して上京してきたダンサー達が踊るものと
今の時代のダンサーたちが踊るものとは、きっと違うだろう。
けれども根底に流れているものは受け継がれている。
こんなに大変で、練習の過程では辛くて、でも踊れば踊るほど
心が昇華し、どんどん高まっていくものを私は知らない。
25年前、私はこの作品でひと月で8キロ痩せた。
そのくらいきつくて、しかも踊り終えた時には、こころから幸せだった。
前のめりに舞台に惹きつけられるように見ながら
自分がうまくできなくて、泣きたいくらいに叱られ続け、練習して練習した所に来ると
涙が出てきた。
クライマックスでは号泣していた。
終わっても涙が止まらない。
なんで泣いているのか、自分でもわからないが
こころが篩にかけられて、揺り動かされ
体の細胞が入れ替わるような衝撃だった。
ものすごく貴重なものを見た。
時を超えて、自分がお会いしたこともない先生方の要素の片端を
自分も受け継いでいる。
25年経っても、この作品に出させて頂いたことは誇りである。
石井みどり先生の「体」を指導されてきた折田 克子先生が
ダンサーと共にカーテンコールに立たれた姿は
大きなお役目を終えられて、軽やかに輝いておられた。