講演「子どもが伸びる!自己肯定感を育てる親子関係のつくり方」 明石市民会館
10月26日(土)は大阪府堺市立泉ヶ丘東中学校で講演会がありました。
テーマは「無為の子育て〜あなたも子どももそのままでいい〜」
最初に詩「しあわせになるれんしゅう」を紹介しました。
「無為の子育て」とは
この無為(むい)という言葉は2500年前の中国の老子という人の言葉です。
無為というのは「ああしたらいいやろ、こうしたら上手く行くやろうという計らい心を捨てて、全てを天に任せていこう、自然の流れに任せていこう」という心のあり方です。
子育てというのは良い子にしよう、賢い子にしよう、強い子にしようと頑張ると良くないんですね。
自然体で楽しくやるのが一番いいんです。
欲を出すと裏目に出ます。
だから私は「いい親になろうとせず、いい子に育てようとせず、ありのままの自分でありのままの子どもを愛し育てていく。それが一番楽で、一番幸せで、一番子どもが伸びる子育てです」と無為の子育てを提唱しています。
子どもを持ちますと親はどうしても強い子や賢い子にしたくなります。
でも皮肉なことに強い子に育てようと頑張れば頑張るほど弱い子になってしまいます。
あるお母さん、子どもさんが二人おられて、
上にお兄ちゃんと下に女の子がおられたんですね。
上のお兄ちゃんが小さい時ちょっと病気がちでよくお医者さんにかかっておられたんですね。
その様子を見てお姑さんが「この子、弱い子やなあ・・」とおっしゃった。
その言葉にお母さんはとても傷つかれて「絶対、この子を強い子にする!」と決意されて、
それからはその子に対して「男の子でしょ!」「お兄ちゃんでしょ!」「泣いたらあかん!」と抱っこもしないで厳しく接しられるようになりました。
そうするとその子は「母子分離不安」になってしまって、いっときもお母さんと離れられなくなってしまいました。
それでお医者さんに相談したら、「今日から毎日添い寝をしてあげてください。この子に優しく接しいっぱい甘やかしてあげてください。」とアドバイスされました。
半年ほどするとその子は安心してお母さんから離れられるようになったということです。
また、賢い子に育てようと頑張れば頑張るほど勉強嫌いな子になります。
私は家庭教師を35年以上やっておりますが、小学校の時から勉強を強制的にやらされて「勉強嫌い」になった子を今も本当にたくさん見ます。嫌がってる時に無理やりやらせたら、そりゃあ嫌いになるのは当たり前です。
でも大人は嫌なことから逃げてたらあかんという理屈から、勉強を無理やりやらせるんですね。
気持ちはわかりますが、それで子どもが勉強嫌いになるのだったら教育効果としては全く逆のことをしているんです。
私、小学校の3、4年生の頃、本が大好きで1ヶ月に6冊も7冊も読んでいました。
ところが5年生になって小学校で子どもたちに本を読む習慣を身につけさせようということになって、どうせやったら読書感想文も書かせて文章力も身につけさせようということで1ヶ月に1冊本読んで読書感想文を書く、という宿題が出るようになりました。
そうなると1ヶ月に6冊も7冊も楽しく読んでいたのに、宿題になった途端1ヶ月に1冊読むのが苦痛になってしまいました。
大人がいらんことせんかったら、子どもを放っておいてくれたら、好きに読んで本好きな子どものままでおられたのに・・。
「こうしたらもっと良くなるやろう」と余計な欲を出して、せっかく子どもが楽しんで本を読んでいるのにそれを台無しにしてしまうんですね。
昔々、中国のある国のお話です。
田んぼの稲を見に行った息子がちっとも稲が伸びていないのを焦ったく思って、ご丁寧に一本ずつ稲をグーっと引っ張って伸ばして回ったんですね。
それで家に帰って親父に「今日はよく働いた。稲を一本ずつ引っ張って伸ばしてやった。」と言いました。
それを聞いた親父は驚いて田んぼの稲を見に行きました。
すると、稲は全て引っ張られたせいで根が切れてしまって枯れていたということです。
親はね、気をつけないと「子どものために」と思って、かえって子どもの可能性を潰してしまう存在でもあるんですね。
教育や躾は必要ではあるが本来不自然なもの
人間は他の動物とは違って人間社会の中で生きています。
人間社会の中で生きていく以上、教育も躾も必要です。
でも、それも度を過ぎると害になります。
なぜか?
それは人間も自然の一部であり、この体の中にも、この心の中にも自然が生きているからです。
教育とか躾とかは人間が作り出したものであり、自然にあったものではありません。
はっきり言えば不自然なもの、自然を抑え込むものです。
だから度を過ぎると「子どもの自然」を壊すことになるのです。
このことを親や先生、つまり教育にあたるものは自覚しておかなければなりません。
「無為の子育て」とは子どもの自然を壊すことなく、活かそうとする子育てです。
子どもの自然とは何か?
それは子どもの中にある「いのちの力」(生命本来の力)です。
「いのちの力」とは自ら伸びようとする力、自ら向上していこうとする力です。
この力を「自己成長力」と申します。
今日はこの自己成長力をいかにして引き出していけばいいのかということを皆さんにお伝えしていきたいと思います。
自己肯定感とは「自分に生まれてきてよかった」ということ
自己成長力が発揮される土台となるものは「自己肯定感」です。
「自分が自分であることが嬉しい」
「自分に生まれてきてよかった」
そう心から思えること。
それが自己肯定感です。
「今の自分が大好き」
そんなふうに思えたら元気も出るし、前向きにもなれるし、毎日楽しいし、心のエネルギー満タンで勉強にも習い事にも全力で取り組めてどんどん伸びていくことでしょう。
「自分に生まれてきてよかった」とは「お父さんお母さんの子でよかった」ということです。
今のお父さんお母さんがいなければ今の自分はないわけですから。
それはつまり「この家の子でよかった」ということです。
「この家の子でよかった」と言ってもらえる100点満点の子育て
子どもに「この家の子でよかった」「お父さんお母さんの子でよかった」そんなふうに思ってもらえたら、それこそが100点満点の子育てではないでしょうか。
では、どうすればそんな子育てができるのでしょう。
答えはとてもシンプルです。
「〇〇ちゃんがうちの子でよかった」
「〇〇ちゃんがお父さんお母さんの子でよかった」
とそう言って育てたら必ず「この家の子でよかった」「お父さんお母さんの子でよかった」と言ってくれるようになります。
こうして親が子どもの心に蒔いた愛のタネは必ず芽を出し花を咲かせます。
子どもの自己肯定感を育てる関わり
では、そんな自己肯定感を育てる関わりについて資料をもとにお話しさせていただきます。
最初に申し上げておきますが、この中の7つ全部をする必要はありません。
自分が「これはいいことだな」と共感されるもの、それを1つでも2つでも心がけてもらえればそれで十分です。
私の考える子育てではなく皆さんらしい子育てを心がけてもらえればと思います。
そのように前置きをして、実際にあった身近な事例やドラえもんの「のび太の結婚前夜」のお話を取り入れてわかりやすく解説させていただきました。
講演の終わりにお一人お一人それぞれ違う100種類の詩をプレゼントしました。
主催者様のご厚意で書籍販売もさせていただきました。
参加いただいた方、お世話いただいた役員の皆様、本当にありがとうございました。
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