第54回姫路市学校保健大会での講演「不登校、発達障害の子どもたちへの関わり」

長谷川満

長谷川満

テーマ:教育・人権講演会

 10月17日(木)は午後から姫路市文化センターで姫路市学校保健大会がありました。
 その中で「不登校、発達障害の子どもたちへの関わり~自己肯定感をいかに育むか~」と題して講演させていただきました。
 聞いてくださるのは姫路市内の小中学校の校長先生、幼稚園やこども園の園長先生、養護の先生、PTA役員の皆様、学校医の先生等、約500名です。





 この資料をもとにお話しさせていただきました。







 まず最初に家庭教師である私がどんなふうに不登校の子どもたち接しているのかをお話しさせて頂きます。

 その子たちに接する上での基本姿勢がありまして、それは
 「学校に行っていようがいまいが、
 そんなのどっちでもいいよ。」
 というものです。

 不登校の原因とか行きたくない理由とか、そんなことは聞きません。
 子どもも聞かれたくないしね。
 ただし子どもがそのことについて話し出したらちゃんと受けとめて話を聞きます。

 どうしてそういう姿勢を取るのか。
 それは一言でいうと、
 「不登校を直そうとすることが逆効果になるということを
 体験を通してよく知っている。」からです。
 そしてそもそも家庭教師の自分には不登校を直す力もないし、直せないと知っているからです。

 でも子ども本人には不登校を乗り越える力があります。
 私に出来るのはその力を信じ、その力がその子の内側から沸いて来るのを助けることです。

 それは、
 好きなアニメの話を聞く。
 好きなゲームの動画を一緒に見る。
 一緒に笑う。
 一時でもつらい現実を離れて一緒に空想の世界で遊ぶ。
 そうして空想の世界で癒されて元気になったら、
 また現実の世界に戻って歩き出す力も沸いて来るように思います。
 空想の世界へ一緒に逃げたからこそ、
 その子が現実に戻ろうとするときも側にいてあげられるのです。
 それが子どもたちの一歩を踏み出す勇気になります。力になります。
 だから私は
 「不登校の子に付き合おう」
 そんな気持ちで接しています。





 いま高校1年生の男子で私が家庭教師をしている子がいるのですが、
 この子も中2からずーっと別室登校で、
 中学時代はなかなか通常クラスに戻れなかったんですが、
  高校に入ってからは「学校も部活も楽しい」と言って
 1日も休まずに通っています。
 その子に前、
 いま不登校で苦しんでいる子にアドバイスするとしたら何?て聞いたんです。
 そうしたら
 「今は焦らなくていいよ。
 無理に学校に行かなくていいし、
 無理にクラスに行かなくていい。
 また元気になって行こうと思える時があるから。」

 「なるほど。
 さすが不登校経験者やなあ。説得力あるわ。
 じゃあ子どもさんが不登校で悩んでいるお母さんやお父さんに
 何かアドバイスするとしたらどう?」

 「焦らなくていいですよ。
 今は学校に行けなくても、クラスに行けなくても、
 また必ず元気になって行けるときが来ますから、
 それまでは何も言わないで見守ってあげてください かなあ。」

 「一緒なんやあ。とりあえず焦らなくていいということやな。」
 
 こんなふうに不登校の子にはどう接したらいいかを
 不登校の子から教えてもらっています。





 子どもが安心する上で一番大切なのは親が「子どもを責めない」「追い詰めない」ということです。
 どうして愛する我が子を追い詰めてしまうのか。
 それは「不登校を直そうとする」からです。
 親には不登校は直せません。
 
 だけど子どもには不登校を直す力があります。
 不登校を乗り越える力があります。

 それを助ける魔法の言葉が
 「ゆっくり休んだらいい」です。
 子どもの心に安心のタネを蒔く言葉です。 

 不登校の問題を考える上で一番大切なのは
 「不登校になっているその子の気持ち」だと思うんです。
 そこが分からなければ解決できるはずがありません。
 
 ここで心理カウンセリングを作られたカール・ロジャーズの話をさせていただきます。

 彼はもともとニューヨークの児童相談所の職員だったんですね。
 そこで非行少年の更生教育に携わっていました。
 児童相談所の職員たちは少年たちが更生できるように「指導」するのですが、
 少年たちの再犯率は一向に改善しませんでした。
 「何かが違う」
 当時の「指導」を中心とした更生教育に疑問を持ったロジャーズは
 もっと科学的に客観的に分析すべきだと考え、
 「少年たちがなぜ犯罪を犯してしまうのか、その背景には何があるのか、その時の少年たちの気持ちはどんなものか。」を知ろうとしました。
 彼は少年たちを理解するために徹底的な「聞き取り調査」をはじめました。
 少年たちが本音を話しやすいように、彼らがどんなことを言おうとそれを咎めたり、指導することなく、ただ彼らの気持ちを理解することだけを目的に彼らの話に耳を傾けました。
 そうすると不思議なことに「聞き取り調査」が始まってからしばらく経つと劇的に再犯率が下がりはじめたのです。
 それだけでなくロジャーズのもとには「自分が今こうして更生できたのは先生のおかげです。」とお礼にくる少年たちが後を絶たなかったのです。

 このことからカール・ロジャーズは「批判することなく、彼らの心情を理解するために話を聞くこと」が心理的治癒効果を持つことを発見したのです。
 これが少年たちを更生させる鍵だったんですね。

 不登校においても、まず直そうとするのではなくその子の気持ちを理解していこうとする姿勢が大切なんだと思います。




 
 そのあと下の資料をもとに「自己肯定感をいかに育むか」についてお話ししました。




 
 講演の終わりに詩「人を強くさせるもの」を紹介しました。


    「人を強くさせるもの」

    このダメな自分のまま
    愛されている
    これほど
    心強いことがあるだろうか

    (はせがわみつる)

 
 そしていきものがかりの「なくもんか」の曲にのせてお一人お一人それぞれ違う100種類の詩をプレゼントしました。

  
 皆さん、熱心に聞いてくださいました。ありがとうございます。

 姫路市教育委員会の皆さん、PTA役員様はじめ大会運営スタッフの皆さん、お世話になりました。皆さんのおかげでなんとか大役を務めさせていただくことができました。
 
 最後になりましたが、私を講師にと推薦してくださった野間こどもクリニックの野間先生、心より感謝しております。




 
         < リンク >

 
 講演会の講演依頼.com|長谷川満 プロフィールページ
 https://www.kouenirai.com/profile/3820

 システムブレーン|長谷川満 プロフィールページ
 https://www.sbrain.co.jp/keyperson/K-7816.htm

 教育講演・人権講演のテーマや内容については
 http://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/column/64075/

 子どもさんの学習の悩み・家庭教師のご相談は
 http://www.hariat.co.jp/ksg/

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長谷川満
専門家

長谷川満(家庭教師)

家庭教師システム学院

発達障がいや不登校の子の意欲を引き出すには自己肯定感を高める必要があります。その子のありのままを受容し、信頼関係を築き、成功体験と褒め言葉で自信と意欲を引き出します。

長谷川満プロは神戸新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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