長崎県上五島町での講演会「命の大切さを子どもたちにどう伝えるか」

長谷川満

長谷川満

テーマ:教育・人権講演会

 8月22日(月)は長崎県五島列島の一つ、新上五島町にあります有川鯨賓館で講演会でした。
 テーマは「いのちの大切さを子どもたちにどう伝えるか」。
 聞いてくださるのは新上五島町内の小中学校の先生方約120名です。

 

 

 これは今から6年ほど前の話なのですが、
 ある女性の家庭教師の先生がいつものように小学校5年生の女の子のお家に指導しに行かれたんですね。
 でもその日はいくら呼び鈴を押しても返事がありません。
 たまたまドアには鍵がかかていなかったのでドアを開けて
 「こんにちは・・、こんにちは・・」
 と呼びかけるのですがやっぱり返事がありません。
 
 家の奥の土間というか、庭というか、そういうところから、カーン、カーン、カーンて金槌で釘を打つような音がしているので、また「こんにちは」と大きな声で呼びかけるとカーン、カーンて2回音がしたあと音が止んだので、もう一度大きな声で「こんにちは」呼ぶと、家の奥の土間の方から小学校5年生の女の子が出てきました。

 先生が「何してたん?」と聞くと、
 その女の子は恐い顔して「先生にはわからへんわ。」

 「何のこと?」
 「先生、人を本気で憎んだことあるか?」
 「えっ?」
 「先生にはわからへんわ。先生、いじめられたことないやろ?」

 この先生は実は中学校の時にきついいじめを受けて人間不信になって不登校になられた過去があったんですね。
 それで
 「先生かていじめられたことあるよ。
  中学ん時にいじめられてそれで学校行けんようになって・・。
  だから〇〇ちゃんの気持ちかてわかるよ。何があったん?」

 するとその小学校5年生の女の子がワーッて泣き出して、ずーっといじめられていて辛かったこと、いじめてくる子が憎くて憎くて、さっきまで人型に切った紙にその子の名前を書いて釘を打ち付けていたことを話してくれました。

 「そっかー。辛かったなー・・。
  わかるでー。先生もいじめられてたことあるから気持ちわかるでー。
  でもな、人を憎んでみても自分の心が汚くなるばっかりやで。
  なんでいじめてくる子のために自分の心を汚さなあかんの。
  先生もいじめてくる子のことを憎く思ったこともあったけど、
  そんな人のために自分の心が真っ黒に汚れるのは馬鹿らしいやん。」

 その子は泣きながら「うん、うん」てわかってくれたそうです。
 
 僕ね、この話をその先生から直接聞いた時、本当にこの先生がこの子の担当でよかったなあと思いました。

 「先生、人を本気で憎んだことあるか?」
 この問いかけは本当に重い問いかけですね。

 人を憎むことは決していいことではありません。
 むしろ悪いことです。
 でも人を憎んでしまうこともあります。
 それを良い悪いではなく「気持ちわかるでー」と共感していく。
 それは勇気のいることです。
 真っ黒な憎しみの感情の泥の中で喘いでいる子どもがいれば
 自分もその泥の中に飛び込んで一緒にもがきながら
 その泥の中から救い出してくる。
 それは自分だけ綺麗な所にいて「そこから抜け出せ」と言ってもダメなんですね。
 その泥の中に自分も入って、その子と一緒にもがき苦しみながらそこから共に這い出していく。
 これを「共苦共悲」と申します。
 共に苦しみ、共に悲しむという意味です。

 私自身も20歳くらいの時に悩みを抱えている時期がありまして、
 大阪駅で行き交う人たちの顔を見ながら「この人たちはいいな、悩みがなくって」と思っていました。
 でもある日ふと、そうじゃないと気がついたんです。

 この通行している人たちも顔には出さないけれど、
 一人一人悩みを抱えているんだ。
 悩み苦しんでいるのは自分一人ではない。
 みんな悩みを抱えつつそれでも一生懸命生きているんだ。
 僕も頑張って生きていこう。
 
 そう思うと勇気が湧いてきたことがありました。

 苦しみというのは自分一人が苦しいと思うから苦しいんですね。
 孤独だから苦しんです。
 貧乏でもね、
 みんな豊かに暮らしているのに自分とこ一軒だけ貧しいというのが辛いんです。
 周りもみんな貧乏やったら、貧乏でも全然明るく楽しくやっていけるんです。
 問題はその悩みそのものというより、そこから生まれる孤独感こそが人を苦しめ追いつめてしまうんですね。

 そのようにお話ししました。
そのあと「自尊感情や自己肯定感を育てる関わり」について具体的な事例をもとにお話ししました。

皆さん、熱心に聞いてくださいました。
講演の終わりに小田和正さんの曲「たしかなこと」にのせてお一人お一人に50種類のそれぞれ違う詩をプレゼントしました。





講演後、主催者様のご厚意で拙著「あなたも子どももそのままでいい」のサイン販売をさせていただきました。





山田会長はじめ新上五島町教育会の皆さまには本当にお世話になりました。
ありがとうございました。
 また皆さんにお会いできる日を楽しみにしています。



        < リンク >

 講演紹介動画「笑って感動して心が軽くなる講演」
 https://www.youtube.com/watch?v=IJgivKVQttk

 講演紹介動画「いのちの大切さを子どもたちにどう伝えるか」 
 https://www.youtube.com/watch?v=2WVpUz5AnPc

 子どもさんの学習の悩み・家庭教師のご相談は
 http://www.hariat.co.jp/ksg/

 不登校でお悩みなら
 http://www.hariat.co.jp/ksg/futoukou.htm

 親も子も幸せに成長していくヒントがいっぱい!
 ブログ「長谷川満の親学講座」
 http://hasegawa-mitsuru.seesaa.net/

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 感動!心が軽くなる!子育て講演については
 http://mbp-japan.com/hyogo/hasegawa/service2/

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長谷川満
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長谷川満(家庭教師)

家庭教師システム学院

発達障がいや不登校の子の意欲を引き出すには自己肯定感を高める必要があります。その子のありのままを受容し、信頼関係を築き、成功体験と褒め言葉で自信と意欲を引き出します。

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