お墓が「思ったものと違う」と言われた①【石屋の法律相談】
~前のコラムからの続きです~
2.葬式費用になるか?
遺族が遺産でお墓を建てた場合には、本人の死亡時には、
本人がお墓を所有しているわけではありません。
生前贈与を行なったような場合は除きますが、
相続税の対象は、原則として被相続人が死亡時に有していた財産です。
死亡後に遺族が遺産でお墓を建てた場合、
被相続人は生前にそのお墓を所有していませんので、
お墓そのものは、そもそも課税対象になりません。
問題は、遺族が遺産(例えば、預金)から、お墓の代金を支払った場合、
その分を葬式費用として遺産から控除できるか、ということです。
葬式費用については、相続税法13条1項2号で、
遺産から控除できる債務とされています。
そして、相続税基本通達では、葬式費用として、
埋葬、納骨の費用、葬式の際に施与した金品等の費用とされ、
墓碑及び墓地の借入料は、これに当たらないとされています(基本通達13-4、13-5)。
したがって、相続税基本通達により、遺族が被相続人の死亡後にお墓を購入した場合、
代金を相続債務として、遺産から差し引くことはできないという結論になります。
それでは、被相続人が生前、墓地の購入契約を締結していた場合はどうなるのでしょうか?
~つづく~
※参考文献:日本石材工業新聞 第1921号(日本石材工業新聞社発行)
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