黄泉の国「神話から見る日本の原点⑦」 

能島孝志

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~前のコラムからの続きです~

■黄泉(よみ)の国

そこでイザナギは、千人でやっと引き動かすことが
できるほど大きな「千引石(ちびきいわ)」を
黄泉津比良坂(よもつひらさか)まで引き、入り口を塞ぎました。

そしてイザナギとイザナミの二神はその石を中にして向かい合い、
互いに最後の決別を告げました(「事戸を渡す・ことどをわたす」)。

イザナミは「愛する夫よ、こんな仕打ちをされるなら、
私はあなたの国の人を一日に千人、首を絞めて殺します!」と。

イザナギは「愛しい妻よ、お前がそうするなら、
私は日に千五百の産屋(うぶや)をたてるまでだ。

このため、人は一日にかならず千人が死に、
千五百人がかならず生まれるようになりました。

また、こういう訳でイザナミの命(みこと)のことを名付けて
「黄泉津大神(よもつおおかみ)」(あの世の大王・冥界の大王)と言うようになりました。

そして黄泉の坂を塞いだ石のことを「道反しの大神(ちかえしのおおかみ)」、
あるいは「塞ります黄泉戸大神(さやりますよみとのおおかみ)」と言います。

黄泉津比良坂は、今は出雲国(いずものくに)の伊賦夜坂(不明・いふやさか)と言います。

                     ~つづく~  

※日本人のお墓(小畠宏允著・日本石材産業協会発行)より

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