◆日本の銘石紹介◆ 石の貴婦人「大島石」

能島孝志

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伊予の銘石「大島石」は、
瀬戸内海の「しまなみ海道」が通る
愛媛県の周囲約50㎞の島、大島で採石されています。

江戸時代から美しく堅牢な石として知られていましたが、
ごく一部の人のみが知る隠れた銘石でした。

しかし、明治から大正、昭和にかけて、
採石技術の進歩・機械化などで、採石量が増えるにつれ、
「大島石」は一躍脚光を浴びるようになりました。

特に産地に近い関西・中国地方では
香川県の「庵治石」と並んで
「お墓といえば大島石」といわれるほどの
信頼と支持を得るとともに、
今日では全国的に知られる高級墓石材となっております。

「大島石」は花崗岩の一種ですが、
その主な成分である石英、長石、雲母が、
それぞれ微細で均質に含まれています。
自然が創るこの偶然性が、
美しい青みを含んだ硬くキメ細かな石肌と、風化に強いという
高級墓石材としての要件を満たしているのです。

建立後の墓石を見ると、
なんとも言えない青みをその石肌に漂わせます。
青磁の肌を感じさせる気品は、
まさに“石の貴婦人”の名にふさわしいものがあります。
また、他を圧倒する気品、風格は
「大島石」ならではのものです。

細やかな石目で、独特の青みを含んだ石肌を持ち、
国産の花崗岩の中でも、
有数の硬さと低い吸水性を誇る「大島石」は、
何年経ってもその風合いの変化が少ないという石質のため、
墓石以外にも多くの歴史的建造物に使用されてきました。

主なところでは、国会議事堂、赤坂離宮、大阪戎橋、愛媛県庁舎などがあります。

■「大島石」の種類と特徴

「大島石」の種類は大きく分けると
次の5つの等級に分かれますが、
「大島石」の丁場(採石場)は40ヶ所以上あり、
採石される丁場によって、同じ特級、一級でも石目・品質等は様々です。
また、採石される年によっても、石質は変わります。

1. 大島特級 
「大島石」の最高峰です。
石目が細かく深みのある濃い青みを含んだ気品ある石です。
しかし、最近では採石できる丁場も少なく希少価値の高い石です。

2. 大島一級
「大島石」の中で墓石材として最も多く使用される石です。
黒玉や白玉、色ムラなども少なく安心して使用できます。

3. 大島二割
大島一級の丁場で採石される石です。
少し目が粗かったり、色ムラなどがあります。

4. 大島カレイ
大島の「カレイ山」という山で採石される石です。
大島特級、一級、二割と比べると石目は少し粗くなりますが、
黒玉や白玉も少なく、上品な淡い色目が特徴です。

5. 大島二等
石目が粗く、黒玉、白玉が目立ちます。
関西地方では、墓石材としては、あまり使用されていません。
長い材料が採石されるので、巻石などに使われます。

★注意★

伊予の銘石「大島石」も
多くが中国に送られ製品化されています。
問題なのは、本来ならば使えないような原石でも、
薬品処理などの“ごまかし”を経て墓石となり、
お客様の元へ提供されていることです。
そのため特に安価な「大島石」墓石には注意が必要です。

……残念ながら製作・販売そのものが
倫理観に欠けるものであっても、
現状では規定法律が無いため、取り締まりの対象になりません。

【石材物性データ】(大島特級)
・見掛け比重   2.649t/㎥
・吸 水 率    0.111% 
・圧縮強度    117.99N/m㎡ 
・岩石分類     花崗岩

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