【第2回】日常業務の「違和感・異常」に気づけない〜ハインリッヒの法則と「目の開いたAI(VLM)」で重大トラブルを防ぐ〜
「不注意でした。次から気をつけます」
製造現場の不具合対策書で、いちばんよく見かける一文です。ところが不思議なことに、この一文で終わった対策は、たいてい再発します。同じミスが、担当者を変え、時期を変え、また起きる。なぜでしょうか。
今回は、この“再発の壁”を乗り越えるために私が開発した「濱田式AI品質ナビゲーター」という取り組みを、できるだけやさしくご紹介します。
「気をつける」では、人は必ずまた間違える
まず、大前提があります。人は、必ずミスをする生き物だということです。
どんなに真面目な人でも、疲れていれば見落とすし、急いでいれば工程を飛ばします。ですから「注意する」「再教育する」という対策は、いつか必ず破られます。原因を“その人の不注意”にした瞬間、私たちの思考はそこで止まってしまうのです。
本当に問うべきは、こうです。
「なぜ、真面目な人でも間違えられる状態になっていたのか」
ミスをしたのは人ですが、“ミスできる状態”を作ったのは仕組みです。ここを分けて考えられるかどうかが、再発を止められるかどうかの分かれ道になります。
AIに任せれば解決する? ―― 落とし穴は「GIGO」
近年、「AIを使えば品質も良くなるのでは」というご相談を多くいただきます。ここに、大きな落とし穴があります。
品質の世界には GIGO(ガベージ・イン、ガベージ・アウト) という言葉があります。「ゴミを入れれば、ゴミが出てくる」という意味です。
「不注意でした」としか書かれていない粗い対策書を、どんなに高価なAIに読み込ませても、返ってくるのは「注意喚起を徹底しましょう」という、やはり中身のない答えだけ。入力が粗ければ、出力も粗い。AIは魔法の箱ではないのです。
では、AIは品質改善の役に立たないのでしょうか。いいえ。使い方の発想を変えれば、これほど心強い相棒はありません。
発想の転換 ―― AIを「答えを出す機械」から「学習パートナー」へ
私が作った濱田式AI品質ナビゲーターは、答えを出す機械ではありません。 使う人に“考え方”を掴ませる、学習パートナーです。
このAIは、答えを教えません。代わりに、問いかけます。「その時、いつもと違ったことは?」「なぜ、それを見落とせる仕組みだったのでしょう?」——現場の方が自分の頭で真因にたどり着けるよう、隣で伴走します。
あくまで主役は、現場・現物・現実を自分の目で確かめる三現主義。AIはそれを助ける“副”に徹します。人の考える力を、AIが奪うのではなく、育てる。ここが最大のこだわりです。
現場でよく使う「4つの型」
ナビゲーターには、目的別に4つの入り口を用意しています。
① 匠の逆インタビュー ―― ベテランの“勘”を、言葉にする
熟練者の頭の中にある判断基準は、本人も言葉にできないことがほとんどです。そこをAIが、やさしく問いかけて引き出します。
たとえば、ある金型磨きの熟練者に「“おかしい”と感じるのはどんな時ですか」と尋ねると、こんな答えが引き出せました。
「斜めの光を当てて動かした時、一点だけ流れたような長い筋が残る時」 「映り込みの歪みが、爪の半分以下なら局所補修にする」
これまで“カン”としか言えなかった判断が、はっきりした言葉になりました。退職とともに失われるはずだった技術が、会社の財産として残せるのです。人手不足と技能継承(いわゆる2025年問題)に、直接効く使い方です。
② 対策書を鍛える ―― 「注意喚起」を「仕組み」に変える
すでにある対策書を入力すると、AIが一緒に磨き上げます。「なぜ、そのミスが起きる仕組みだったのか」を掘り下げ、“人が気をつける”対策を、“人が気をつけなくても間違えようがない”仕組み(ポカヨケ)へと置き換えていきます。
たとえば「ネジの締め忘れ」なら——「なぜ本締め工程を飛ばせてしまうのか」を突き詰め、締結の回数を数えて足りなければ次の工程へ進めない、という仕組みへ。注意喚起ではなく、構造で防ぐ。これが再発を止める対策です。
③ なぜなぜ深掘り ―― 「不注意」で止めず、真因まで掘る
「なぜ」を繰り返して、個人の責任ではなく“仕組みの欠陥”まで掘り下げる壁打ち相手です。ある部品の付け忘れを掘っていくと、最後は「必要な治具を手配する責任者が、社内規程で決まっていなかった」という、組織の仕組みの問題までたどり着きました。表面的な「作業者のミス」で止まっていたら、決して見えなかった真因です。
④ 新人育成ナビ ―― 手順を“分かったつもり”で終わらせない
新人・若手向けの型です。作業手順を一つずつ確認し、「なぜそうするのか」を自分の言葉で説明できるかを確かめます。詰まったら、答えを教える前にヒントを出す。最後は、そのやりとりを手順書チェックリストにまとめて、手元に残せます。
大切にしている、たった一つのこと
このナビゲーターが一貫して大切にしているのは、**「人が主役、AIは副」**という姿勢です。AIは、現場を見る目や考える力の代わりにはなりません。その力を育てるための道具です。
特別な準備は要りません。高額なシステムも不要で、使い慣れたブラウザからすぐに始められます。使う際は、顧客名や図面などの機密情報は入力しない、といった安全のお約束だけ守っていただければ大丈夫です。
「対策書から“教育を徹底する”という言葉が消える日」を、私は本気で目指しています。
お試しのご案内
現在、この濱田式AI品質ナビゲーターを、企業限定で無料お試しいただける機会をご用意しています(先着・期間限定)。「まず触ってみたい」という現場の声にお応えする取り組みです。ご関心のある企業のご担当者様は、お気軽にお問い合わせください。
★お問い合わせフォーム
“再発の壁”に悩む現場の一助になれば幸いです。


