できないことが、増えてきても。
掃除の仕事を続ける中で、片付けまでお手伝いできたらと思うようになりました。
もともと整理収納は得意な方でした。
でも、「得意です」だけでは、お客様にお伝えするには説得力がない。
そう思って、整理収納アドバイザーの資格を取りました。
その勉強をする中で「実家片付けアドバイザー」という資格があることを知り、こちらも取得。
高齢のお客様が多かったことから、終活についても学びました。
相続など、お金に関わる話にも少しはお答えできるようになりたいと、FP2級も取得しました。
そうやって学びを重ねながら、私の中には、ある思いが少しずつ大きくなっていました。
私は、単なる「掃除屋さん」をやりたいわけではないんだよなぁ。
掃除に限らず、お客様が困っていることがあれば、一緒に考えたい。
私にできないことなら、できる人につなぎたい。
お客様が喜んでくださることが、私もうれしい。
「ありがとう」と言っていただけることが、何よりうれしい。
今なら、こうして書くことができます。
でも、その頃の私は、自分がやりたいことをうまく言葉にすることができませんでした。
どうやったら伝わるんだろう。
どうやったら仕事として形になるんだろう。
いろいろな人を訪ねて、話を聞いてもらいました。
今思えば、何をしたいのか自分でもきちんと説明できないのに、「仕事ください!」みたいな営業をしていたこともあります。
当然、伝わりません(笑)。
自分の思いを自分で文章にできなくて、SNSで見つけたライターさんを訪ね、書いてもらったこともありました。
知り合いに相談したら、
「何がしたいのか、全然わからない」
と、コテンパンに言われたこともあります。
その後、紹介をきっかけに相談に伺った支援機関で、親身になって話を聞いてくださる先生に出会いました。
当時の私は、高齢者のお手伝いもしたい。子育て中の方のお手伝いもしたい。
どちらも大切だと思っていました。
先生から言われたのは、
「最初から二つを追わず、まずは一つに絞った方がいい」
ということでした。
ここでも、またコテンパン(笑)。
でも、この出会いが、今の「高齢者に寄り添う」という仕事につながっていったように思います。
高齢のお客様のお宅へ伺うと、掃除が終わったあとに、お茶をいただきながらお話しすることがありました。
「子どもには迷惑をかけたくない」
「ぴんぴんころりと逝けたらいいんだけどね」
そんな本音を聞かせていただくこともありました。
家族が仲良くいられる秘訣を教えていただいたこともあります。
最初はお茶だけだったのが、いつの間にかお昼ご飯まで用意して待っていてくださるようになったお客様もいました。
掃除をしに行っているはずなのに、私が教えていただくことの方が多かったのかもしれません。
そして今、私自身も家族として介護に向き合うようになりました。
仕事で高齢者に寄り添ってきたつもりでも、家族の立場になって初めて見えたことがあります。
親の思い。
子どもの思い。
家族だからこその難しさ。
それでも、できるだけ良い関係でいたいという思い。
そんな経験も、今の仕事や、このコラムにつながっています。
マイベストプロでコラムを書き始めた時には、すでに「私は家事代行だけをしたいわけではない」とわかっていました。
でも、では何をしたいのか。
自分では、かなり言葉にできるようになったつもりでいました。
ところが、コラムを書き続けるうちに、
「ああ、私が伝えたかったのは、こういうことだったんだ」
と、自分自身が気づくことが何度もありました。
今日で、このコラムは50本目です。
50本書いたから、何かが完成したわけではありません。
でも、書くことで、ずっと自分の中にあった思いが、少しずつ言葉になってきました。
振り返ってみると、書いてきたことは違っても、その根っこにあるものは同じでした。
困っている人のそばで、一緒に考えること。
できないことがあれば、できる方法を探すこと。
必要なら、誰かにつなぐこと。
そして、その人や家族が少しでも安心できること。
たぶん私は、ずっとそれをやりたかったのだと思います。
このコラムは、誰かに私の仕事を知ってもらうために書き始めました。
でも50本書いて気づきました。
このコラムは、私自身が「くらとと」の想いを言葉にしていく場所でもあったんですね。
まだ、うまく言葉になっていない思いもあります。
だから、これからも書きながら考えていこうと思います。


