お客様の喜びは、私の幸せ。
長年、定期的に伺っている80代後半のお客様がいます。
最近、少し気になることが出てきました。
それは、ゴミの分別です。
これまでは、だいたいご自身で分別できていました。
ところが最近、プラごみの中に食べ残しなどが入っていることが増えてきました。
「食べ残しはこちらにお願いしますね」
そうお伝えすると、
「すみません。ご面倒をおかけしました」
と謝ってくださいます。
そのたびに、謝らせてしまうことが、かえって申し訳なく感じていました。
そして先日。
いつものようにプラごみの中を確認すると、食べ終わったとうもろこしが入っていました。
ほかにも食べ残しがあり、汁も出ています。
きれいに分別されていたプラごみまで汚れてしまっていました。
何とかしなくては。
でも、何度も「ここではありませんよ」とお伝えすることが、本当に解決になるのだろうかと思いました。
そこで、やり方を変えることにしました。
いつものプラごみ箱は、そのままにする。
新しいゴミ箱を増やしたり、今まであったものをなくしたりすれば、かえって混乱してしまうかもしれません。
だから、きれいに分別されたプラごみだけを私が別の場所へ移しておくことにしました。
これなら、いつものプラごみ箱には何を入れても大丈夫。
間違えないようにしてもらうのではなく、間違えても困らないようにする。
そんな方法もあるのだと思いました。
同じ日、もう一つの出来事がありました。
お弁当代の集金に来た方に、お客様が大きなお札を出していました。
お釣りがなかったため、私が手持ちのお金で両替することにしました。
あとは小銭です。
必要な金額を出そうとされていましたが、なかなかうまくいきません。
「一緒に探しましょうか」
小銭入れを見ながら、一緒に必要な金額を出しました。
無事に支払いが終わったあと、お客様が私におっしゃいました。
「もし、自分が至らなくて、マイナスなことをしたら、遠慮なく言ってくださいね」
小銭をうまく出せなかったことを気にされていたのだと思います。
「マイナスなんてないですよ」
私はそうお答えしました。
「こうして、自分がマイナスなことをしていたら言ってくださいって、相手のことを気遣っていらっしゃるじゃないですか。そんなお気持ちは、プラスでしかないですよ」
そうお伝えすると、お客様は少し嬉しそうにされていました。
自分では「できなかった」と思ったこと。
それを、自分のマイナスとして受け止めてしまったのかもしれません。
でも、私が見ていたのは、そこではありませんでした。
できないことが少しずつ増えてきても、その人らしさまでなくなるわけではありません。
ゴミの分別が難しくなったら、間違えても大丈夫な方法を考える。
小銭を出すのが難しくなったら、一緒に探せばいい。
できないことを、できるようにしてもらうのではなく、
できなくても困らない方法を考える。
それでいいのだと思います。
その後、ご家族から連絡をいただきました。
近いうちに数日間、旅行に出かける予定があり、留守中のことをお願いしたいとのことでした。
以前そのお話を伺った時、私は、
「行ける時に行ってきてください。留守中はお任せください」
とお伝えしていました。
長年伺っているからこそ、分かることがあります。
ご本人が安心して暮らせること。
そして、支えるご家族にも安心して自分の時間を過ごしていただくこと。
その両方を支えるために、私にできることをしていきたいと思っています。


