『知っていること』と『やってきたこと』

小曽根加代

小曽根加代

テーマ:くらととの想い

「この汚れ、落ちますか?」

ハウスクリーニングのご依頼をいただいた現場で、床の黒ずみについてそう聞かれました。

正直なところ、答えは、

「やってみないと、わかりません」

でした。

長い間ついていた汚れです。
素材を傷めるわけにもいきません。

最終日、時間のない中で試してみると、少し落ちました。

少し落ちると、思ってしまうんです。

「これ、もう少しいけるんじゃない?」

たぶん、性格なんでしょうね(笑)。

その日は時間切れで、いったん作業を終えました。

でも、気になる。

ほかにも、もう少し試してみたいところがありました。

浴室の鏡。
シンクの水アカ。
そして、この床の黒ずみ。

後日、もう一度現場へ行きました。

鏡やシンクは再度挑戦して、「ここまでできれば十分」と思えるところで終了。

そして床の黒ずみは——

落ちました。

自分でも満足できるところまで。

今回の現場では、ほかにも床に粘着テープの跡のような汚れがありました。

一緒に作業していたスタッフが、

「ここ、落ちません」

と言ったところです。

私がやってみると、落ちました。

「どうやって落としたんですか?」

と聞かれて、

「教えなーい(笑)」

なんて答えました。

もちろん、意地悪をしたいわけではありません。

掃除の仕事に携わって10年以上。

いろいろな汚れを見て、いろいろな方法を試してきました。

うまくいったこともあれば、思うようにいかなかったこともあります。

その積み重ねの中で、

「これは、もう少しいけそう」

「これは、ここでやめた方がいい」

そんな見極めも、少しずつできるようになりました。

どんな洗剤を使うのか。
どんな道具を使うのか。

もちろん、知識は必要です。

でも、知識だけではわからないこともあります。

実際にやってみて、失敗したり、工夫したり、また試したり。

知っていることと、やってきたこと。

その両方が重なって、仕事の精度は上がっていくのだと思います。

これは、掃除だけの話ではありません。

私はこれまで、整理収納、実家の片付け、終活、FPなど、仕事に必要だと思うことを学び、資格も取得してきました。

でも、資格を取ったからできることと、実際の暮らしの中に入って初めてわかることは、少し違います。

高齢の親のお金のこと。
これからの暮らしのこと。
実家の片付けのこと。

正解がひとつではないことばかりです。

知識があるから、考えられる選択肢が増える。

経験があるから、その中から目の前の方に合う方法を考えられる。

先日、仕事の話をしていた方から、

「現場を経験している人は違う。話にリアリティがある」

と言っていただきました。

その言葉が、とても印象に残っています。

知識だけでもなく、経験だけでもなく。

『知っていること』と『やってきたこと』。

その両方を使って、目の前の人と一緒に考える。

それが、今の私の仕事なのだと思います。

そして、そこにもうひとつ。

少し落ちたら、

「まだいけるんじゃない?」

と、つい試したくなる性格(笑)。

知識と経験。
そして、ちょっとしつこい私というスパイス。

それも含めて、「くらとと」なのかもしれません。

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小曽根加代
専門家

小曽根加代(実家片付け・生前整理サポート)

くらとと

言い出しにくい実家の片付けを、親子それぞれの想いに配慮しながら調整します。仕業や専門業者とも連携し、止まりがちな話を無理なく現実的に進め、生前整理や空き家対策まで一貫してサポートします。

小曽根加代プロは上毛新聞社が厳正なる審査をした登録専門家です

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