こんな苦労は子どもにさせたくない
先日、こんなご相談がありました。
亡くなられた方の遺品整理をすることになったのですが、趣味で作られた作品が、二部屋にわたってたくさん残されていました。
どれも素敵な作品です。
できることなら、全部残しておきたい。
でも、すべてを引き取れるだけの場所はありません。
だからといって、ひとつひとつ丁寧に作られた作品を「ごみ」として処分することを考えると、それもつらい。
そんなお話でした。
どれが一番大切だったのか、もう聞くことができない
たくさんある作品の中で、ご本人が特に気に入っていたものはどれだったのでしょう。
残念ながら、今となっては聞くことができません。
家族から見れば、どれも同じように大切に見えます。
だから、残すものを選ぶことも、手放すものを決めることも難しくなります。
このお話を聞いて、改めて思いました。
趣味のものこそ、生前整理が大切なのではないか。
といっても、
「元気なうちに作品を減らしておきましょう」
という話ではありません。
私なら、まずこんなことを聞いてみたいと思います。
「この中から、お気に入りを3つ選ぶとしたら、どれ?」
そして、もうひとつ。
「どうして、それが好きなの?」
「お気に入りベスト3」と、その理由を聞いておく
絵画、刺繍、編み物、陶芸、書道、写真。
長年続けてきた趣味なら、作品がたくさんあるのは当たり前です。
「全部大切」
そう言われるかもしれません。
それでも、「3つだけ選ぶとしたら?」と聞いてみる。
すると、
「これは初めて賞をもらった作品だから」
「これは旅行先で見た景色を描いたものだから」
「これは孫が好きだと言ってくれたから」
そんな、その人にしか分からない理由が出てくるかもしれません。
大切なのは、3つに減らすことではありません。
何を大切にしているのか、その理由を知っておくこと。
それが、いつか家族が作品を整理しなければならなくなったときの、ひとつの指標になります。
現物を残すだけが、「残す」ではない
全部を現物で残せないときには、写真に残す方法もあります。
実は、わが家にも「捨てられない人」がいます。
手放すものを、いちいち写真に撮ります。
それを見た家族から、
「その写真、あとで見るの? 意味あるの?」
と言われていました。
確かに。
たぶん、ほとんど見返しません(笑)。
知人からも、
「子どもの作品は写真に撮ってから処分した」
という話を聞きました。
そして聞いてみたら、やっぱり写真はほとんど見返していないそうです(笑)。
私自身も、なかなか物を捨てられないので、手放す前に写真を撮ることがあります。
そして私も、ほとんど見返しません。
でも、それでいいのではないかと思っています。
写真を撮ることは、あとで見るためだけではない。
「捨ててしまう」のではなく、
「ちゃんと残した」と思うため。
「忘れてしまう」のではなく、
「思い出そうと思えば思い出せる」と安心するため。
写真を一枚撮ることで、自分の中で区切りがついて、手放せることがあります。
考えてみれば、現物だって持っているからといって、いつも見返しているわけではないんですけどね(笑)。
「何を捨てる?」の前に、「何が大切?」を聞いてみる
生前整理というと、
「物を減らすこと」
「子どもに迷惑をかけないように片付けておくこと」
そんなイメージがあるかもしれません。
でも、それだけではないと思います。
たくさんある趣味の作品を、今すぐ処分する必要はありません。
まずは、お気に入りベスト3を聞いてみる。
そして、なぜそれが大切なのかも聞いてみる。
できれば、写真と一緒にその理由を残しておく。
それだけでも、立派な生前整理ではないでしょうか。
いつか家族が整理するとき、
「これは絶対に残しておこう」
「これは写真に残そう」
「これは誰かにもらってもらおう」
「これは、ありがとうと言って手放そう」
そう判断する手がかりになります。
何を捨てるかを決めるためではなく、
何を大切にしてきたのかを、家族に伝えておく。
趣味の作品こそ、そんな生前整理をしておくと、残された家族の迷いを少し減らせるのではないかと思います。


