転ばぬ先の杖は、親子げんかの始まり?
「手すり、どう?」
レンタル業者さんから「使い勝手はいかがですか?」という留守番電話をいただいたので、デイサービスから帰ってきた義母に聞いてみました。
すると返ってきた言葉は、
「便利だよ。あると直ぐ捕まっちゃう。」
思わず拍子抜けしてしまいました。
というのも、手すりを取り付ける前の義母は、ずっと難色を示していたからです。
「そんなに年寄りになっちゃったんかねぇ。」
ケアマネジャーさんにはそう話し、取り付けに来てくださった業者さんにも、
「まだ必要ないんですけどね。」
と、少し抵抗がある様子でした。
私は、義実家の前を通るたびに、今までなかった玄関の手すりを見て、「他人の目を気にする義母だから、本当は嫌なのではないかな」と思っていました。
でも、実際に使ってみると、
「便利だよ。」
その一言だったのです。
実は今回、最初から住宅改修で手すりを取り付けるという選択肢もありました。
住宅改修なら、ご本人の負担は工事費の1割程度で済みます。
一方、レンタルは毎月費用がかかるため、長く使えば住宅改修の方が経済的です。
それでも、私たちはまずレンタルを選びました。
本人が納得していない状態で工事をしても、本当に使ってもらえるかわからなかったからです。
「まずは試してみよう。」
そんな気持ちで始めたお試しでした。
以前、ケアマネジャーさんがこんなことを話してくれました。
「目の前にないものは、なかなか想像できないんですよ。」
その時は「そういうものなのかな」と思っていましたが、今回、義母の姿を見て、その言葉の意味がよくわかりました。
使う前は「まだ必要ない」と思っていたものが、使ってみたら「便利だよ」に変わる。
人は、体験して初めてわかることがあるのだと、改めて感じました。
そういえば、デイサービスも同じでした。
最初は「そんな歳じゃない。」と抵抗していた義母。
でも、お試しで通ってみると、今では楽しそうに通っています。
生前整理も、家事代行も、きっと同じです。
「まだ必要ない。」
そう思う気持ちは、とてもよくわかります。
だから私は、無理に勧めることはしません。
まずは一度、体験してみる。
やってみることで初めて見える景色が、きっとあると思うからです。


