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芝原晶子

工業系・技術系企業の海外向け事業を支える英語翻訳者

芝原晶子(しばはらあきこ) / 通訳・翻訳

AST Translation Service

コラム

メキシコの今②

2020年6月25日 公開 / 2021年2月28日更新

テーマ:通訳 翻訳 英語 リモート 海外展開支援

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 通訳サービス翻訳サービス留学

Good morning! 今日は梅雨空の高崎です。

さて、昨日に引き続き、メキシコ在住のマリオから届いた、
現地の情報をお伝えいたします。
(一部、私の方で日本語を修正してあります。)

新型コロナ以外の病気を全部無視する保健省

メキシコは社会保健公社「IMSS」と呼ばれる政府機関があります。
国立福利制度はフォーマル部門(公務員・民間企業就業者)のみが包摂され、
都市インフォーマル部門(都市の低生産性部門従事者)および農業従事者は制度の枠外に置かれています。
現在、特定病院がコロナ専用治療をするようになり、私立病院との合意を結んだ上、
社会保険加入者の入院を許可しています。しかし、飽和状態で、薬や特別な治療を受ける必要が
あったとしても、サービスを受けられません。

あと、赤ん坊の為にいつも在庫がないといけないBCGワクチンや、
その他常備薬もない地方が多数あります。もしCOVID19の疑いで亡くなった場合、
病院が家族の許可なしに死体を焼却してしまいます。行方不明になった人の確認で、
ある程度までその行動は中止されましたが、通常の入院後自分が亡くなり死体すら
無くなる事実で恐れている患者が、新型コロナ専用区分へ移動されると分かった瞬間に
病院から逃れるということが多発しています。

会社は休業、学校も休校

人が集まる学校、会社は政府の指示で全部の活動を3ヶ月以上休止してきました。
生徒達はパソコンとインターネットがあれば授業を受け続けられますが、
ほとんどの生徒のおいてその環境が整っていません。
労働者たちは給料半減になったけれども、政府から何も手当てをもらっていません。
従業員を解雇した会社も沢山ありましたが、この国では失業保険がないため、
多くの家庭で家賃、電気、水、ガス代の生活サービス料金の支払い困難に陥ってしまいました。

経済的なインパクトの強いビール産業は、外国と違ってメキシコ政府が
基本的なサービスでないと判断し、休業命令を受けました。
ビール工場から小さな専門店まで、ビールに関わる仕事が多いため、
急増値上がりや運送トラックサービス中止等の影響は2ヶ月以上見られました。
また、アルコール依存症の人による家庭内暴力事件も増加しました。

政府は基本的サービスだけは営業が続くように許可しました。
その定義は「それがなければ社会の進捗が止まり、生活ができなくなるサービス」ですが、
たとえば、花屋、床屋、酒屋、露店等の自営業者とって、自分の生活は仕事をしなければ
給料をもらえません。失業保健等の手当てを与えない国では、
基本は「これからしばらく最低でも生活ができる」という意味より、
「生活ができるように頑張るしかない毎日」として考える義務があります。

床屋の【新型サービス】

12才未満お子様入店をお断りの看板

店内にお客様5人に限っている看板

病院はもちろん、銀行、エネルギー類、衛生関係のようなサービスはまだやっていました
(しかし、戸籍に関する離婚手続き等が中止になりました)。
レストラン業界にとって、出前を提供しなければ営業継続できず、
そのサービス変化が間に合わなかったことで、閉店のケースも珍しくありませんでした。

この課題に対して、メキシコ大統領は「ビジネス倒産は各管理者の責任だ」と宣言した上、
政府の立場は「手当てはなにもしない」と表明しました。その最中、政府が税金の支払いを求め続けました。

感染リスクの下、人口の半分は外で稼がないと生活不可な事実

今年の2月ごろ伝染状況の第2段階に入った時に、「家に居よう」のスローガンが出されましたが、
外出して一日も休みなくお金を稼がないといけない人が多く、インフォーマルの仕事をする人には
リスクは相変わらず高い毎日が続きます。

メキシコでは契約なしで特定の職場のない人が働くと、社会病院の無料診断は受診できません。
クリニックで受診してもらえない患者は、重症や重大な病気にかからないように、
気をつけるしかありません。加入料を払えば保健サービスを受けられますが、
その金額が高く待機期間もあるので、初期から全ての病気をカバーできません。
新型コロナ時代の前からずっと危機に陥っている国民が多いのです。

最後に

誰もがビックリする事情のある社会を見せてしまいましたが、そもそもメキシコはそんな所です。
盲信的に政府の言っている通り従う人もいますが、その一方、信頼できなくても
抵抗できない大多数の国民は仕方なく従います。
ニューノーマルからマスクのなかった以前のノーマルな日々がまた来るまで我慢していきます。

以上、マリオからメキシコの現状報告でした。
国が違えば事情が違うのは頭ではわかっていても、こんなにも違うものかと驚きました。
一日でも早く、世界中でこのパンデミックが収束することを願ってやみません。

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芝原晶子

工業系・技術系企業の海外向け事業を支える英語翻訳者

芝原晶子(AST Translation Service)

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